【 滋賀 】古民家・母屋「リノベーション」事例集

滋賀営業所で手掛けた「 古民家 」「 古い家(母屋・離れ)」などのリノベーション・フルリフォームの事例(実例)や工事過程をご紹介します。
【 目次 】
古民家リノベにあたり
古民家とは、目安として建築後50年経過した日本の住居を指します。主に金物などで固定していく「在来工法」ではなく、木組みのみで住居を建築する「伝統工法」の家が当てはまり、大きな梁や柱などで組まれているのが特徴です。
現在そのような建物を新築しようとすると、技術的にも費用的にも難しいのが現状です。一方、近年の古民家リノベーションでは、新築よりコストをかけずに、古き良き風合いを生かしつつ、使い勝手や性能・機能を向上させた建物に改修することが可能です。長く住んでいるご家族の想いも受け継いでいくことができます。
では、古民家をリノベーションするにあたって何に気を付ければよいでしょうか?
それは、次に挙げる古民家特有の「3つの住みにくさ」を解消することです。
これまでに古い家をいろいろ見てきましたが、昔の人は大工さんを含め、玄関や和室・応接間を優先して立派に仕上げる傾向があり、水まわりにはそこまで気を配っていないことが分かります。現代はその逆で、まずは水まわりのキッチン・浴室などを快適にしたいと思われる方が多いのではないでしょうか。
冬場は特に寒く、暖房の効いていない室内では、まるで外にいるかのような寒さを感じることがあります。
とにかく昔の家は段差が多いです。現在よりも建具の性能が低く、段差を利用してホコリや隙間風の侵入を防いだり、別室からの光漏れを防ぐ対策をしていたためです。地域によっては、表よりも裏の方を低くしなければならない…という迷信のような理由もあるようです。
滋賀営業所 リノベ特徴
●「 一級建築士や二級建築士 」の資格をもったプランナーが設計に携わります。
●大型リノベーションの案件でも、お客さま専任のプランナーが「 初回訪問 ~ 工事管理 」まで責任をもって担当します。
●築100年以上の古民家を始め、「古い家」の大規模改修の経験が豊富です。
古民家リノベ
築100年以上のとても立派な家でしたが、施主様ご夫妻・娘様は、建て替えを希望されている様子でした。
それに対して「 もったいない! 絶対リノベーション!」と娘婿様の熱い気持ちに押されてフルリノベーションすることになった事例をご紹介!
こちらの古民家リノベーションの事例は、詳しい工事過程も掲載していますので、是非ご覧ください。




古い家のリノベーション①
シニア世代のご夫婦と高齢の母、ワンちゃん1匹の暮らし。
建て替えも検討されましたが、お父様が遺してくださった長く住み慣れた家と庭を壊すことなく「快適な生活」を得たいと考えられ、リフォームを選択されました。
リフォームのポイントは、みんなが暮らしやすいよう和室を8畳から6畳に変更し、その分リビングを広げるプランに。また収納や仕上げ材料にこだわりました。







古い家のリノベーション②
ご祖父様・ご祖母様がお亡くなりになり、近所に住んでいたお孫様がその家(築50年)を引き継ぎ、暮らすことになったことがきっかけに。
今回スケルトンリフォームでしたが、玄関の上り台や和室の天井や床の間など、古き良きものは残し、設備やサッシ類、傷んでいる床等は思い切ってすべて取替える、とメリハリをつけて予算内で提案させていただきました。






築120年の玄関・パントリー
築120年以上の母屋、歴史のある玄関をリフォームするという重大な責任のもと、まず恥じないような意匠と素材を検討しました。日本家屋特有の「通り土間」は、靴のまま台所へ進むことができるメリットがあるため、その導線を活かしたプランにしました。
玄関の式台として長くその役目を果たしてきたケヤキの一枚板は、大工職人が磨き上げ、新しい玄関の式台と飾り棚の板として再利用することにしました。






古民家リノベーションの工事過程
今回は、滋賀県蒲生郡竜王町にある築100年以上の古民家をフルリノベーション(フルリフォーム)しました工事過程をご紹介します。
ご家族は施主様ご夫妻の他、娘様のご家族、お孫さんもおられます。
最初の打合せでは、建て替えか?リノベーションか?という話から始まりました。とても立派な家でしたが、ご夫妻・娘様は建て替えを希望されている様子でした。
実は私(筆者)も実家はもともと古民家で、幼い頃は「古い家で、嫌だなあ」と思っていました。実際に古民家に住んでいる人は、その価値や良さに気付いていなかったりします。
そのような中「もったいない! 絶対リノベーション!」と言われたのが娘婿様でした。その家にずっと住んでいなかった方が、一番その家の魅力に気づいていたのですね。その熱い気持ちに押されてリノベーション(フルリフォーム)することになりました。




近年の住宅では、柱の太さや間隔等がほぼ一定なのですが、古い家の場合、各柱によって微妙に太さや間隔等が異なるため丁寧に採寸して図面にします。(築100年以上となると有効な図面がありません)
そうしないと、窓や建具が微妙に入らないという事態を招いたり、水まわり設備機器の配置施工図にも影響してきます。
そのため時間をかけて、玄関外から各部屋の段差・柱の位置・取れない梁までの高さなども徹底的に確認し、採寸して図面にします。伝統工法に関する知識と経験がないとなかなかできない作業です。
私はこの過程が好きで、初対面だった家とだんだん仲良くなっていく感じがして楽しんで行っています。

なるべくバリアフリーにしたいのですが、各部屋の段差が多く梁もあるので、最終床レベルを決定するのがとても難しいためしっかりと図面にし、各部屋の納まりを検討しました。

プラン(図面)については、分かりやすいように「プラン1」から番号を振り打合せを行いますが、最終契約に至った図面は「プラン12」でした。
お客さまがプラン(図面)が決まった際に『12番目のプランかぁ~。いっぱい検討してくれたね』と仰っていただいたのを覚えています。
柱も細く、耐震的に弱そうな部分は、解体撤去します。
玄関・縁側の下屋の部分もだいぶ傷んでいたので垂木、野地板から取替えます。


続いて内部の柱と外周を残し、他はすべて解体していきます。


古民家にはたいてい『つし』があります。いわゆる屋根裏ですが、今回は娘様の『階段のある家に住みたい!』という願いと「子供部屋にしたい」という願いを叶えるべく、つしもリノベーションしていきます。



< つし部分の改修プラン >

土葺き(つちふき)の瓦を撤去する時は、家の中にも土ホコリが落ちるので、先に屋根瓦を葺き替えていきます。昔は土葺きだったのですが、防水シートを張り、瓦を金具止で葺いていきます。

増築部分も施工していきます。基礎はべた基礎で、現代の在来工法で建てていきます。


床は全面に断熱材を敷き、合板を張っていきます。一旦床を撤去し、フラットにすることで古民家の問題点である段差を解消します。


外周部・天井にも断熱材を充填していきます。床にも十分断熱材を敷き込んでいるので、古民家の問題点である断熱性能も解消され、冬場も暖かくなります。


玄関も一旦床を撤去していきます。
延石(のべいし)で見切り、内部はタイル、外部は石を張っていきます。



玄関から見ると逆の部分に水屋・蔵などの建物が隣接している為、家の内部に面する部分は、窓だけでは暗くなってしまう事が懸念されました。そこで、ガラス瓦を屋根に施工し、明るさを確保しました。


つし部分は天井の高さが低いので勾配天井にし、周りは同様に断熱材で覆います。


いよいよ最終段階で、内装工事です。活かす柱・梁は塗装し、壁はクロスを張っていきます。


お客さまとイメージを共有するために、弊社では3Dイメージ画像を使っています。これにより梁が天井に出ているとはどんな感じか、などのイメージをつかむことも可能です。
今回は「リビング」と「屋根の形状」イメージをお客さまと共有して進めていきました。言葉や図面で説明しても後々「 思っていた感じと違う… 」等とならない為、3Dイメージ画像での共有は重要です。

キッチンはTOTOの「ザ・クラッソ」というシリーズです。大きな梁で組まれた伝統工法ならではの良さを活かし、大空間でしか設置できないアイランド型にしました。
シンク側・コンロ側どちらからもキッチンに移動出来て便利です。



以前、娘様家族は隣にある離れで過ごされることが多かったそうですが、リノベーション後は母屋にいることが多くなり、家族団らんの時間が増えたそうです。
他の水まわりも使いやすい設備に交換し、古民家の問題点である水まわりの使いにくさも解消されました。



今までは浴室もトイレも母屋にはありませんでしたので、とても快適になったと大喜びしていただけました。やっぱり、水まわりって大事ですね。
工事前のつしからは考えられないほど、おしゃれな子供部屋になりました。

玄関は以前と同じ大きさです。ご近所の方が来られる機会が多いので、ゆっくりおしゃべりすることが出来るようにとご希望でした。
実は奥の部分に1畳ほどの畳を敷いてあります。私もたまにお邪魔する時はここに腰掛けさせていただいて、おしゃべりしています。

和室は壁の塗り替え、畳の入替、建具の取替をおこないました。もちろん柱はそのままですが、きちんと手入れされていたので、つやつやです。


外観は、漆喰・焼き板・樋・日本瓦のバランスが見事な古き良き風情を壊さないように配慮しました。日本家屋の重厚感はすばらしいですよね。
また瓦の上についている小さな屋根、いまでは見かけない煙抜きです。昔は家の中に囲炉裏があり、そこで料理を行っていた名残なのです。そのため実用性はないのですが、趣を残すためにあえて残しました。


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