【 合併処理浄化槽の設置 】水洗トイレへのリフォーム(苅田・行橋)

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キッチン・洗濯・お風呂等から流す生活排水は、川や海の水質汚濁の原因の一つになっています。

日本では、水質汚濁対策の一つとして下水道の整備が進められており、下水道を通った汚水は下水処理場で処理後、川や海へ放流されています。

一方、下水道が整備されていない地域で、下水処理ができるのが浄化槽です。
 

本コラムでは、浄化槽の種類である「 合併処理浄化槽 」と「 単独処理浄化槽 」の違いやそれぞれの特徴を紹介します。また実際に合併処理浄化槽を設置し、汲取り式の簡易水洗便トイレから水洗トイレへの取り替えを行った工事の過程をご紹介します。

 

 

家庭用排水の処理設備の種類

 

全国で下水道など何らかの方法で汚水処理の対象となっている人口の割合は92.9%となっています。

家庭用排水の処理設備は大きく分けて、下水処理と浄化槽の2種類となります。

 

都市部の多くが下水道処理区域となり、令和4年度末時点での全国の下水道普及率は81%、次いで浄化槽の普及率は9.4%でした。 

当社営業所のある福岡県では、84%(北九州市99.9%、苅田町53%、行橋市22%)、滋賀県93%、東京都99.6%と整備済の地域も多い一方、まだまだ整備が進んでいない地域もあります。


その他は、農業集落排水施設(2.4%)、コミュニティ・プラント(0.1%)によるものです。

 


浄化槽はさらに2種類に分けられ、「単独処理浄化槽」と「合併処理浄化槽」があります。

 

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下水処理場

都市部での生活や産業で発生した汚水や雨水を集めて下水処理場へ移送してからまとめて処理を行ったのちに自然環境へ放流する大規模な処理方法です。

 

単独処理浄化槽

家庭から排出される生活排水のうち、トイレ排水(し尿)のみを処理する浄化槽で、炊事・洗濯・入浴などの雑排水はそのまま川など自然環境に放流されます。

 

合併処理浄化槽

し尿のみならず雑排水も処理する浄化槽で、単独処理浄化槽に比べて浄化能力がはるかに高く、現在では改良が進み下水処理場と遜色ない処理能力となっています。 
生活排水の一部を放流する単独処理浄化槽に比べて、生活排水のすべてを処理に回す合併処理浄化槽の浄化能力は、単独処理浄化槽の汚れの量「BOD」を8分の1にすることができます。

 

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汚れの指標BODとは

 

Biochemical Oxygen Demandの略で、生物化学的酸素要求量と訳されます。 
水の中の汚れを分解するために微生物が必要とする酸素の量を表しており、BODの値がすなわち水の汚れの程度を示す数値として使われています。


有機物を分解する微生物は汚れが多いと個体数が増殖し、その分多くの酸素を呼吸に必要とすることになるため、必要な酸素の量が多い=汚れが多いということになります。

 

 

なお、家庭から排出される生活排水は一人一日あたり約200リットルで、BODの排出量は約40グラムと推定されています。 
そのうち、トイレからは13グラム、トイレ以外(キッチン、洗濯、風呂、洗面所など)から排出されるBODは27グラムといわれています。


し尿のみを処理する単独処理浄化槽においては、40グラムのうちのわずか13グラムのみ処理をし、残りの27グラムはそのまま放流することになり、生活排水の約70%の汚濁物質が未処理のまま川などに放流されるということになります。

 


また、各浄化槽の能力にも差があります。 
合併処理浄化槽を通して排出される水に含まれるBODは約4グラム(処理前は40グラム)なのに対して単独処理浄化槽を通して排出される水に含まれるBODは約5グラム(処理前は13グラム)です。


合併処理浄化槽が設置された家庭の排水のBODの合計が4グラムなのに対し、単独処理浄化槽が設置された家庭の排水のBODの合計は27グラム+5グラム=32グラムとなり、8倍もの汚濁物質が放流されてしまうことになるのです。

 

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出典:環境省ホームページ(浄化槽サイト)  → こちらをクリック

 

汚水処理の仕組み

 

汚水処理は、下水処理でも浄化槽でも、基本的に微生物の力を借りています。

水をろ過するためのろ材の中に微生物を付着させます。


酸素を嫌う微生物を付着させたろ材のある嫌気槽と、酸素を好む微生物のいる好気槽に分かれて処理していくことになります。微生物の力はすごいですね。

 

 

 法改正による浄化槽の設置ルール変更

 

平成13年施行に浄化槽法が改正されました。単独処理浄化槽の新たな設置が禁止され、既存の単独処理浄化槽は合併処理浄化槽へ変更することが努力義務とされました。


努力義務とは、既存の単独処理浄化槽はすぐに合併処理浄化槽に変更しなければならないというわけではありませんが、積極的に変更するよう努めなければならないという意味です。

 

合併処理浄化槽の普及率と残存する単独処理浄化槽の数

 

令和3年度末の報告では、浄化槽の全国の設置基数は752万基で、そのうち合併処理浄化槽が395万基、単独処理浄化槽が357万基となっていました。
令和4年度末の報告によると、浄化槽の全国の設置基数は751万基で1万基減、そのうち合併処理浄化槽が402万基、単独処理浄化槽が349万基といった状況でした。

 

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前年度と比較して合併処理浄化槽が65,000基ほど増加し、単独処理浄化槽が76,000基ほど減少しています。
単独処理浄化槽の新規設置が禁止されてから、合併処理浄化槽の設置割合は緩やかに上昇しているものの、現在でも浄化槽全体の約50%強程度に留まっています。


また、法改正から23年経つ現在、単独処理浄化槽の耐用年数が30年であることも相まって、経年劣化による浄化槽の破損・漏水リスクもあることから、早く合併処理浄化槽に変更されることが望ましいのです。
なお、令和4年度末時点で浄化槽の対人口普及率は9.4%で、1178万人が浄化槽の対象となっています。

 

古い単独処理浄化槽のその後

 

まずは、浄化槽を使わなくなった日から30日以内に自治体に浄化槽法に基づく廃止届を提出します。

また新たに合併処理浄化槽を設置する場合は浄化槽整備士がいる、都道府県の登録を受けた浄化槽工事業者に作業を依頼します。工事の前には設置届を提出する必要があります。

 

洗浄して再利用

古い浄化槽は、洗浄、消毒ののち雨どいから管をつなげてポンプを設置するなど改造し、雨水貯留槽や防火水槽として活用することができます。
地下に埋設してある雨水貯留槽に雨水を貯めることで、災害時の非常用水として使えるだけでなく、植物の水やりや洗車などに活用して日常的な節水、川に流入する雨の量を雨水貯留槽が一部引き受けることで川の氾濫を防ぐことにもつながります。
また、単独処理浄化槽を処分せずに再利用することでごみの減量にもつながります。
 

廃棄処分

単独処理浄化槽を廃棄する場合には、廃棄物処理法に基づいた処理方法でなければならず、処分方法は各自治体によります。
単独処理浄化槽は再利用されることが望ましく、一部の市町村では、設置済みの単独処理浄化槽を雨水貯留槽などに再利用する場合に補助金を設けているところもあります。


 

リフォーム工事例

今回の現場は、汲取り式の簡易水洗トイレから水洗トイレに取り替えを行いました。

  


  

 

 

いずれも綺麗になって気持ちがいいですね。

 

こちらのトイレのリフォームに加えて、合併浄化槽の設置を行います。
浄化槽を設置するためにはある程度のスペースが必要なため、今回は駐車場に設置させていただきました。

 

< 工事前 >
 

 

 

駐車場として利用されていたスペースで、右奥のマンホールが汚水をためておく便槽の蓋です。
インターロッキングブロック(レンガのようなコンクリートのブロック)が施工してあるため、綺麗にもとに戻せるよう気を付けて外して浄化槽を設置するために穴を掘ります。


< 合併浄化槽 >
なかなか埋まっていない状態を見ることはないかと思います。

 

 

 

先ほどのスペースに浄化槽を埋めるための穴を掘り終えたところです。奥にあるのは便槽です。こちらも消毒して解体します。

 


< 埋め戻した後 >
 

 

 

ここまで来たらあとは浄化槽まわりにコンクリートを打設して、インターロッキングを戻していきます。


< 完成 >
綺麗に仕上がりました。

 

 

 

まとめ

 

かつては環境に対する配慮があまりなく、排水に関しても同様で多くを自然環境に未処理のまま放流していました。環境問題の意識が高まるにつれ、ただ使うだけでなく、自然環境に配慮する使い方が求められるようになっています。


都市部の多くは下水処理で、浄化槽は住宅の密集していない地域に普及しているため、都市部ではあまり馴染みがないかもしれませんが、単独処理浄化槽はかつて環境への配慮不足であった当時の設備の名残でもあるのです。
 

現在「 簡易水洗トイレ・非水洗トイレ・単独処理浄化槽 」をお使いのご家庭の方は、合併浄化槽や下水道工事を検討されてみてはいかがでしょうか。環境にやさしいという観点から、国も浄化槽を設置することを推奨しており、工事に補助金がおりる地域も多くあります。


なお合併浄化槽の工事は、家庭から出る全ての排水を一つの配管に入れるため、下水道工事と似ています。

● 下水道工事の紹介コラムは → こちらをクリック


 

 

 

 


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