「 真壁・真壁造り 」とは(住宅建築 用語解説)
真壁・真壁造りとは「しんかべ」と呼び、柱と柱の間に壁を作ることで柱が外から見える壁を指し、和室に多く見られる日本の伝統的な壁の納め方です。
【真壁造りの断面図】
【真壁造りの部屋】
伝統的な木造住宅の場合、真壁は室内だけでなく外壁側にも作られることがあります。
【真壁造りの外壁】
一方で、柱や梁を壁で覆い柱を見せないような壁を「大壁(おおかべ)造り」と呼ばれ、現代において一般的に使われる壁の手法です。
大壁造りについては下記のリンクを参照ください。
現代の住宅では、真壁はほとんど見なくなり、和室で使用される程度となっています。
その理由を下記でご説明します。
木材の調達が困難
真壁造りとするには、柱や梁が人目に触れることから良質な木材が必要であり、昔は良質な木材が豊富に取れていました。
近年造られている真壁は、実際の柱が見えているものは少なく、意匠的に杢目が綺麗な板を貼って仕上げているものが多く見受けられます。
高い気密性が求められる
木材は呼吸をすると言われており、湿度によって木材が収縮します。
昔は、木材である柱と壁の間が収縮によってすき間が生まれることで、通気性を確保することが良いとされていましたが、最近では、外気に影響されにくい高気密な住宅が求められています。
また、真壁造りでは木材が呼吸をすることで、室内の湿度を適度に保つ機能がありますが、最近では家電でその機能を代用できます。
耐火性が求められる
木材が露出していることから、火災の際に構造体が直接延焼する恐れがあります。
大壁造りでは柱や梁は耐火性のある石膏ボードの内側にあることから、構造体が延焼しにくい構造となっています。
このように、真壁造りより大壁造りの方がメリットが多く感じますが、真壁造りである古民家等では100年以上住み続けられているものもあります。
木造でありながらこれほどの耐久性を保つことができた理由の一つは、高温多湿の日本において、柱を見せることで壁内に湿気を溜めなかったことが上げられます。 高温多湿の日本においては、通気性の高い家づくりが心掛けられてきました。
多様性や利便性が求められる時代となり、住まいに求められるものや工法の進化・発展等、住まいづくりも常に変化しています。