「 ユニットバス（システムバス） 」とは（用語解説）
ユニットバスとは、防水性の高い素材で「 壁・床・天井・浴槽 」などを一体化して、工場で生産した浴室のことです。
現場にユニットごと搬入して「 設置・組立・接続 」しスピーディーに完成させる工法で、最近では「 システムバス 」とも呼ばれています。
現在のユニットバスに繋がるFRP製のユニット式の工法は、日本で開発されました。
もともとは1964年の東京オリンピックの際に、超スピード工期で高層ホテル（ホテルニューオータニ）を建築する必要があり、内装工事を省力化するために研究を重ねて採用されたものでした。
主に開発に携わったのは、日立化成工業（現：ハウステック）・東洋陶器（現：TOTO）の２社です。
それまで１部屋に１か月を要していたバスやトイレの施工が、運び込んで設置するユニットバスを採用したことで、数時間に短縮されたといます。
実際この時のホテルニューオータニの工事では1000室以上もある全客室へのユニットバスの据付工事を、３か月半で完了したとされます。
この浴室がトイレ・洗面と一体になった「3点ユニット」だったことで、いわゆる「ユニットバス」と呼ばれるようになったようです。
このいわゆる「初代」ユニットバスは、2014年7月、ニューオータニ内の倉庫に当時の設置状態で現存していたことが判明し、2015年8月、TOTO本社に隣接している資料館「TOTOミュージアム」へ移設されました。今では一般公開され見ることができます。
一般的に「ユニットバス」というと、洗面・浴槽・トイレが一緒になっている3点ユニットをイメージされる方が多いと思います。
ユニット式の工法でつくられるユニットバスは、「1点ユニットバス」「2点ユニットバス」「3点ユニットバス」と、3種類あります。
上記の3点ユニットバスに加え、浴槽と洗面が一緒になったものを2点ユニットバス、浴槽と洗い場で構成されているものを1点ユニットバスといいます。
1点ユニットバス（システムバス）とは、浴槽と洗い場のみが設置されたユニットバスです。
トイレや洗面台はセットされておらず、その分浴室内を広く使うことができます。
一戸建ての住宅や家族向けのマンションなどでよくみられる設計になっていることが多く、実際にそれらの住宅に採用されることが多いのがこのタイプです。
2点ユニットバスとは、浴室に洗面台とお風呂が設置されているユニットバスです。
単身者用のアパートやマンションで採用されていることが多く、洗面台とお風呂が併設されているので、スペースをコンパクトに活用できます。
浴室に設置しているシャワーを使って、浴槽と洗い場・洗面台のすべてを洗い流すことができるので、お掃除がしやすいことがメリットの一つです。
3点ユニットバスとは、浴室にお風呂と洗面台とトイレが設置されているユニットバスです。
3点ユニットバスは、一人暮らし用の賃貸住宅や、ビジネスホテルなどで採用されていることが多いです。
お風呂・トイレ・洗面台の3つをセットで設置することで、コンパクトに納めることができます。
ユニットバスのメリット
ユニットバスはFRPという素材自体の防水性が高く、防水上大切な床と壁のつなぎ目部分を一体化して造るので、水漏れの心配が少なくできます。
全体を見ても隙間が少なく、断熱性能を向上しやすいので、在来工法の浴室と比べると比較的暖かいでしょう。
品質や仕上がりなどに職人の技術力の差が無くなるということもメリットの一つです。
工場で造られた材料やパネルを現場に運び込んで組み立てる為スピーディーで工期が短く、価格が安く済みます。
近年のTOTO ユニットバスでは、各所に適した断熱材で天井・壁・排水トラップを包み込んでいますので、温度低下を防いでくれます。
ユニットバスの注意点
ユニットバスは、規格品のため多くのメーカーではデザインやサイズ等を自由に設定できません。
梁や柱などの場所に合わせて変形させることが出来ないので、設置しようとしている浴室スペースが変形していたり、狭かったりしていると選べるタイプが制限されてしまうので注意が必要です。
手摺やアクセサリーの設置を希望する時は、設置場所や形状を工事前までに決めておく必要があります。
