リノベーション(大規模リフォーム)の仮住まい
自宅の修繕やリフォームを行うときに、工事中はどこで生活すればいいのでしょうか?
設備の搬入・設置のような一日で終わるような工事であればそのまま自宅にいてもいいのですが、水道や電気設備を変更するような大規模リフォームや、柱や梁を除くすべてを一度解体するフルリノベーションを行う場合は、仮住まいが必要となります。
リノベーションを行う際に自宅にいると・・・
工事の騒音やごみ・ホコリ・人の出入りが多くなり、互いに気を使う
工事中は多くの職人が現場を出入りします。また、解体時や工具を使う時などには大きな音が鳴ります。ごみもたくさん出ますし、ホコリも舞いあがります。これでは、日常を平穏に過ごすことはとても無理があります。
水道が止まる日があり、入浴やトイレ、調理ができなくなる
フルリノベーションでは多くの場合、給水給湯設備を変更する工事も行います。給水工事を行うときは家の水道を一旦止める必要があるため、その期間は水道を使うことが出来なくなり、お風呂やトイレの使用、料理ができなくなってしまいます。
電気設備を変更する時なども同様で、電力の供給を一旦止めることもあります。
居住者がいると更に工期が長くなる
各部屋ずつ作業を行うため効率が悪くなり工期が長くなってしまうことにつながり、結果的に工事費用が高くなってしまうことになります。
フルリノベーション中の仮住まいには、どのような物件を選ぶのがよいでしょうか。
現場の規模にもよりますが、フルリノベーションを行う際には工期が一般的に2~5ヵ月かかるといわれています。
物件の種類
ウィークリー・マンスリーマンション
ウィークリーマンションやマンスリーマンションは、週単位もしくは月単位で借りることのできる物件です。
出張や単身赴任など、もともと短期での入居を想定した物件であるため、敷金や礼金がなく、入退去の費用も契約手数料とクリーニング代程度で、家賃に水道光熱費が含まれていたり、インターネット回線が既に敷かれていたりと、様々な手続きを省略することができて、仮住まいであることで発生するわずらわしさが非常に少ないのが特長です。
部屋自体は大きくないためファミリーでの入居が難しいことや、家具・家電つきのマンションの場合は、自宅から家電を持ち込むことで余計に狭くなってしまうこともあります。
また、通常の賃貸物件に比べて家賃が高めに設定されているため、長期になってしまう場合にはトータルコストがかさむ可能性があります。
一般的な賃貸住宅
物件数が多く、広さもファミリー向けのものが多くあるため、家族で仮住まいに住む場合はこちらを探すことが多いようです。
ただ、これらの物件は長期入居を想定しているため、まず仮住まいとして契約しようとしていることを知らせる必要があります。その際に契約を断られるか、別途条件が追加される場合があります。
初期費用として敷金・礼金・仲介手数料が発生するほか、短期間で退去すると違約金を求められるか、1年分の家賃をあらかじめ負担するなどといったケースもあります。
UR賃貸
一般の賃貸と比べ、短期入居に対して優しいのがURの賃貸物件です。
礼金や仲介手数料がないため初期費用が大きく抑えられますし、長期入居条件などもなく、退去日の14日前までに告知すれば退去できます。
もともと住宅供給公社の公団を使用しているところが多く、駅近くであったりファミリー向けの間取りであったりと、家族で仮住まいを探している方にもおすすめです。
ただし、非常に人気が高く空き物件が少ないため、立地や移動手段などを妥協しなくてはならない可能性がでてきます。
ホテル
宿泊料に水道・電気・インターネットなどインフラ系の費用が含まれているため、宿泊料以外の料金がかからないのがホテルのいいところです。
宿泊予約さえ取れていればすぐに移動できますし、余計な手続きも必要ありません。
ただし、その他の賃貸物件に比べて宿泊料はかなり割高であることや、キッチンがないため食事が完全に外食になること、家財道具を持ち込めない点がデメリットになります。
仮住まいでかかる費用の種類
引っ越し費用
家財の移動でかかる費用です。仮住まいに入れるにしても、トランクルームに入れるにしても、家財の移動が必要で引っ越し業者に依頼する場合、リフォーム後に自宅に戻す分も含めて2度の引っ越し費用の負担が発生します。
入居費用
一般的な賃貸物件に入居する場合、敷金・礼金・仲介手数料・火災保険料・鍵の交換費用などが発生します。
ウィークリーマンションやUR、ホテルに住む場合にはこれらの費用は全くかからないか、グッと抑えられます。
家賃
滞在するための費用です。一般的にはホテルが最も割高で、ウィークリーマンションが次いで割高といえます。一般的な賃貸物件やUR賃貸は立地や広さなどの条件により順番が変動します。
家財道具の保管用にトランクルーム
人間の入居用ではなく、荷物を預けるための物件です。ウィークリーマンションやホテルなど、家から持ち出した家具や家電を持ち込めない場合に活用することになります。
敷金や礼金などはないところが多いですし、人間が住む物件よりも家賃は低めに設定されていますが、新たなランニングコストとなるため、もともと家賃が高めのウィークリーマンションやホテルなどと併用することで、最終的な費用負担は大きくなります。
水道高熱費・インターネット
一般的な賃貸物件やUR賃貸では電気・水道・ガスなどのライフラインやインターネットの回線費用がかかってきます。
また、工事中の現場でも水や電気を使うことがあり、工事業者との相談が必要ですが、現住居と仮住まいとの二重契約が必要となる場合もあります。現住居で必要ないという判断があれば一時停止させることも可能です。
インターネットは一時停止ができないため、継続して支払い続ける必要があります。場所に縛られないモバイルルーターやコンセントに差すだけで繋がるホームルーターなどもあるので、仮住まいに持ってきてそのまま使える場合は二重契約の必要はありません。
ペット関連
仮住まいがペット入居不可の物件だった場合、長期滞在させられるペットホテルや、知り合いに預けるなどする必要があり、それらにまつわる費用もかかります。
仮住まいからの通勤・通学
なるべくなら現住居から近くに仮住まいを借りたいところですが、離れてしまった場合にはそこから通勤・通学するための費用も変わってきます。
退去費用
退去時の部屋のクリーニング代です。短期間であることと、敷金から充当されることがほとんどのため、よほど現状から変わってしまった場合でない限り極端な退去費用がかかることはなさそうです。
短期入居であることを隠して契約した場合には、退去時に違約金が発生する場合がありますので気をつけましょう。
手続きの種類
1年以上なら住民票の異動が必要
1年以内の入居期間であれば住民票を移動する必要はありませんが、工事の規模が大きかったり大幅な遅延が発生したりなど、1年を超えて仮住まいに滞在する場合には住民票の移動が必要になります。
電気・水道・ガス・インターネット
現住居で工事に必要がなければ電気や水道、ガスは一時利用停止をすることができます。一方仮住まいではそれらの開通手続きをすることになります。
インターネットは一時停止ができないため現住居との二重契約かもしくは、場所を選ばないルーターを利用することになります。
郵便物の転送
郵便局か、オンライン上で転送手続きをすることができます。
また、通販でなにか注文するときに登録されている現住居の方にうっかり送ってしまうことのないように気をつけましょう。
現住居の定期サービスの停止
食料配送サービスやウォーターサーバーなど、定期的に自動的に送られてくるサービスも一時利用停止する必要があります。
仮住まいを選ぶうえでの注意点
工期が延長になった場合の対処が可能かどうか
一般の賃貸物件を短期で借りる場合、入居の段階で退去予定日を決められてしまうことがあります。ところが工事が必ずしも予定通りに終わるとは限りません。
もし工事が延長になってしまった場合に仮住まいの契約を延長できるのか、また新たに仮住まいを探すことになるのかでは金銭的・精神的に負担が大きく変わってきます。その点も契約前に確認する必要があります。
仮住まいの契約のタイミング
仮住まいを契約するタイミングは工事の着工日から逆算して一カ月前くらい、引っ越しはあまり着工日ギリギリにならないようにしておくことがベターです。
あまり早すぎては余計に家賃がかかってしまいますし、ギリギリ過ぎると現住居になにか忘れ物をしてしまった場合に戻ったり探したりして、工事の開始に影響を与える可能性もあります。
仮住まい住宅の探し方
一般的な賃貸ウェブサイトやUR賃貸のウェブサイト
最も一般的な仮住まいの探し方になります。ウェブサイトのいいところは検索が素早く、絞り込み検索をすることで効率的に探すことができる点ですが、仮住まい目的の短期入居が可能かどうかまで記載があることは少ないです。
地域の不動産会社
探せる範囲は広くありませんが、物件のオーナーと話して短期入居を認めてもらえたり、融通を利かせたりしてくれる場合があります。
まれにネットには掲載されていない物件もあります。
工事業者のあっせん
工事業者によっては仮住まい用の物件を持っていたり、家財預かりサービスを行っていたりする会社があります。大手のリフォーム会社であればそのような工事業者を紹介してくれることもあるため、まずはリフォーム会社に相談してみましょう。
まとめ
フルリノベーションをするのにも大きく費用がかかってくるため、仮住まいはなるべく費用を抑えたいところです。
まずはリフォーム会社に相談してみて、うまくいかなければUR、賃貸の順に探してみるのが良さそうです。夫婦のみ、もしくはお子さんが小さい家族ならウィークリーマンションも選択肢に入りますし、ごく短期で済むのであればホテル暮らしをしてみてリフレッシュするのもいいかもしれませんね。