「 ガスコンロとIHコンロ 」メリット・デメリット
キッチンをリフォームする際に、コンロをガスにしようか、IHにしようか悩まれる方は多いです。
「 ガスコンロ 」と「 IHコンロ 」のリフォームする際の費用の違い、設置後のランニングコストなどそれぞれに良いところ、気を付けなければならないところがありますので、今回はそれらの点にフォーカスしてご紹介します。
使用時の違い
高火力を複数同時に使えるかどうか
ガスコンロは2口でも3口でも、強火で同時に使用することができますが、IHコンロは家庭ごとに電力容量が決まっていることから、複数の口を使うときには電力容量を調整してブレーカーが落ちないように自動的に調整されてしまうため、強火を複数同時に使うことはできません。
その場合調理の順番を考えたり、待ち時間ができたりして、ガスに比べ調理時間が掛かってしまうこともあります。
鍋振り調理ができるかどうか
チャーハンを炒めるときのように、鍋をあおって具材を混ぜるような鍋振り調理をする場合、ガスコンロは可能ですが、IHコンロの場合には加熱の仕組み上、コンロと鍋が離れてしまうと加熱がストップしてしまいます。新しいIHコンロの中には光センサーを用いて鍋振り調理ができるようになっているものもありますが、まだまだ数は多くありません。
停電時に使用可能か
地震や台風の災害時など、停電が発生したとき、ガスコンロならガスの供給がされている以上は調理が可能ですが、IHコンロは使えなくなります。一時的な停電ならその時料理しなければよいだけですが、電力の復旧に時間が掛かって数日にわたる停電が起きたときなどには影響が大きくなります。
対応する調理器具の数
ガスコンロはすべてのコンロ用調理器具を使うことができますが、IHはIH対応の調理器具を選んで使うことになります。ガスコンロからIHへリフォームする場合、手持ちの鍋やフライパンがIHに対応していないと使えないことになります。
オールメタルに対応しているIHコンロならアルミや銅の鍋が使えるようになりある程度選択の幅が広がりますが、鍋底がフラットでないものや非金属のものなど、IHでの調理に向かないものはまだあります。
ランニングコスト
ガス代・電気代のランニングコストは、一般的にガスの方が抑えられます。ただ、ガスは都市ガスかプロパンガスかによって料金が変わってきますし、電気は使用する時間帯や契約プラン、地域によっても差が出るため、一概にガスのみが優れているというわけでもありません。
価格の相場については後述します。
安全性
ガスは火を使うため、常に火災や火傷、燃え移りの危険性を伴っています。小さなお子様やお年寄り、ペットがいる家庭ではそのリスクはより高くなります。
IHは火を使わず電磁誘導で鍋を直接加熱するため、ガスに比べ安全性は非常に高いです。鍋底の状態を感知して停止する機能もあるため、消し忘れや立ち消えの心配もありません。
ただ調理直後のヒーターの天板は非常に熱いので、うっかり触れてしまうことには気を付けなければなりません。
お手入れのしやすさ
ガスコンロはバーナーのある部分や五徳など、凹凸が多く掃除が大変です。その点IHは天板がフラットにできているため、お手入れは非常に簡単です。
室内温度への影響
ガスによる炎は鍋を加熱する以外にも、空気中に光や熱を放出するため、部屋の温度を上げることにつながります。冬場の調理ならかえってキッチンが暖かくなってよいかもしれませんが、夏場の調理なら暑くてたまらないといった状況にもなります。
一方IHは鍋の加熱以外に熱を拡散させることがほとんどないため、部屋の温度に影響を与えることはほとんどありません。
火力調整のしやすさ
ガスコンロは炎が直接目に見える点では火力調整によいかもしれませんが、鍋を火にかけながら火力調整をするときには体をかがめて鍋底まで目線を落とし、炎をのぞき込んでつまみを調節しなくてはなりません。
IHコンロは電力で火力を制御しているため、火力レベルは10段階ほどから選択することになります。ほとんどのIHコンロは立ったまま火力レベルを調整することができるのに加え、常に安定した火力をキープすることができます。
リフォーム時の費用のパターン
コンロをリフォームする際にかかる工事費用はガスコンロからIHに替えるか、IHからガスコンロに替えるか、ビルトインタイプのものを使っているのか、据え置きタイプのものを使っているかで大きく変わってきます。
ガスコンロからIHへのリフォーム
ガスコンロからIHコンロへのリフォームで、最も大掛かりなリフォームとなるパターンは、ビルトインガスコンロからビルトインIHコンロへの交換となります。
その際にかかる工事の内容は主に、既存のガスコンロの撤去・ガス管の閉栓・分電盤からキッチンへの配線・IHコンロの搬入、取り付けなどです。
ビルトインのIHコンロは200Vの電圧が必要なため、必要に応じて分電盤を交換したり、ブレーカーを交換したり、配線を改めたりすることがあります。配電設備が整っていればもう少し工事費用は抑えられますが、配線工事も必要であった場合、上記の工事費用は合計して110,000~150,000円程度かかると言われています。
ビルトインタイプではなく、据え置きタイプのものを導入する場合には、費用は抑えられる傾向にありますが、ビルトインタイプのIHコンロでも200Vが必要な機種もあり、その場合には同様に配線工事やガス管閉栓工事などが必要になります。
IHからのガスへのリフォーム
ガスの配管がされているかどうかでリフォーム費用が大きく変わってきます。
ガスの配管が既に通っており、それを改めて開通させて利用できる場合にはコンロの交換費用のみで済む可能性もありますが、ガス管が通っていなかった場合には配管工事から取り掛からなければならず、大きく費用が掛かることになります。ガス工事費は規模やガス会社によって異なります。
同種のコンロに交換する場合
ほとんどの場合で交換以外の工事が発生することはありませんが、IHコンロの種類によっては電圧を上げる必要があるものがあり、その場合には配線工事を行うことになります。
ランニングコスト
「石油連盟 石油システム推進室」による調査データを元に、都市ガス・プロパンガス・昼間電気・夜間電気の地域別のエネルギー単価を表にしてみました。
なお、調査時期は2023年2月で、各単価には基本料金は含まれていません。単位とするエネルギー量はkwh(キロワット時)で、一時間に1,000ワットの電力を使用した場合、ガスにおいてはそれと同等のエネルギーを生み出す量を使用した場合、ということになります。表の単価は、1kwhあたりにかかる金額を表しています。
地域は、TOTOリモデルサービスの営業所のある東京都・滋賀県・福岡県の3ヵ所を表示しています。
■ 東京都(2023年2月時点)
■ 滋賀県(2023年2月時点)
■ 福岡県(2023年2月時点)
以上を比べてみると、エネルギー単価が低い順に(低コスト順)おおよそ、
ということになります。福岡県では夜間電気が都市ガスよりもお得になっていたり、東京都のプロパンガスが夜間電気よりも若干安かったりと、必ずしもこの順番になるわけではありません。
またお住いの地域によっては都市ガスを引けずプロパンガスになるところもあったり、電気の契約内容によっても料金が変わってきたりします。
まとめ
日中に料理をよくする方や、料理自体を楽しみたい方などはガスコンロがおすすめです。
小さなお子様やご高齢の方と一緒にお住まいの方、ペットを飼っている方や、お掃除が簡単な方を好まれる方などはIHがおすすめになります。
どちらのタイプにもメリットとデメリットがあります。どのようなことを大事に考えるかご家族とよく相談してみるのがよいですね。