「金ゴテ押え」と「木ゴテ押え」とは(建築用語解説)
「 金ゴテ押え 」と「 木ゴテ押え 」とは、漆喰やモルタル等の左官作業時に表面を平に均す鏝(コテ)の種類を指し、それぞれ表面の仕上がりが異なります。
左官とは
左官とは、土・漆喰やモルタルといった建材を、主に鏝(コテ)を使って塗る作業を指します。
一見、単純な作業に見えますが、下地塗りや中塗り等何回も塗りと乾燥を重ね、表面の出来栄えを左右する重要な仕事です。また、レンガやブロック塀を積み上げて壁をつくるのも左官の仕事となります。
そもそも「左官」とは、所説ありますが、土を扱うため「沙官(シャカン)」と呼ばれていたものがなまって現代の呼び方になったと言われているそうです。
また、これも所説ありますが、江戸時代では「土」に関わる職を「左官=さかん」と言い、「木」を扱う職を「右官=うかん」と呼んでいたそうです。
【 左官の作業 】
左官によって仕上げた壁は、凹凸がある特徴的な形となり、光沢が無い独特の質感に仕上がります。
左官仕上げの種類
一般的な左官仕上げの種類について紹介します。
金ゴテ押え
金ゴテ押さえは、金属製のコテを使い表面がツルツルと滑らかに仕上がる施工方法です。完成後は、表面がなめらかでホコリなどを掃除しやすいというメリットがあります。
見た目は美しいのですが、雨や水で滑ることがあるので人が歩く場所では注意が必要です。1回で表面をツルツルにすることは難しく、一般的には2~3回ほど表面を金ゴテで押さえます。
木ゴテ押さえ
木ゴテ押さえは、木のコテを使用することで、ざらざらとした表面に仕上ることからタイルを貼る場合や別に仕上げを塗る場合等に使用されます。
最近では木コデの代わりにプラスチック製のコテを使うこともあり、プラスチックコテを使った場合も「木ゴテ押さえ」と呼ばれます。
金ゴテより粗い仕上げで良いことなどから、施工単価は金ゴテより安価です。料金は安いですが、直接見える部分の仕上げを木ゴテ仕上げとすることはほぼありません。
見積もりを安く見せるためにあえて木ゴテとなっていないか、施工見積もりを見る際はしっかりチェックしましょう。
刷毛引き
刷毛引きは、コンクリートの表面が完全に硬化する前にハケで筋目(すじめ)を入れた施工方法です。表面にハケの溝が付くことで滑り止めになり、水に濡れても滑りにくい仕上げとなります。
一方で、溝に細かいゴミがたまりやすく、掃除がしにくいというデメリットがあります。
「均し」と「押さえ」の違い
左官工事では、「コテ均し(ならし)」や「コテ押さえ」という工程があります。
似たような言葉ですが、それぞれ異なる意味を持ち、「均し」は「コンクリートの高さと平坦さを整える工程」で、「押さえ」は「コンクリートの余分な水や空気を追い出し、気密性と強度を高める工程」という違いがあります。
左官工事は職人の腕が大きく影響を受ける工事です。
仕上がりをしっかり確認し、満足の良く工事となっているかどうかチェックすることが大切です。