「 通し柱 」とは(住宅建築 用語解説)
通し柱は「とおしばしら」と呼ばれ、2階建ての木造住宅に用いられる、軒まで通った継ぎ目のない柱を指します。
具体的には、下記の写真のように梁と呼ばれる水平方向の木材に遮られることなく、軒まで通った柱です。
1階と2階が通っていない柱は、地震時につなぎ目で折れやすいことから、古くから土台から屋根まで一本で通った柱は、地震に強い柱と言われています。
■イメージ図
また、建築基準法第43条第5項において、2階以上の建築物における柱の隅柱は通し柱としなければならないとなっています。
【建築基準法第43条第5項】 階数が2以上の建築物におけるすみ柱又はこれに準ずる柱は、通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においては、この限りでない。
しかし、条文の末尾に記載とのとおり、通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合は、必ず通し柱とする必要はありません。
なお、条文中の「すみ柱」とは、基本的に家の出隅及び入隅の柱を指し、建物の形が複雑になるほどすみ柱となる部分が多くなります。
通し柱の大きさと耐震性
通し柱の大きさ(断面寸法)は、一般的には4寸角(12×12cm)が使用されます。
また、通し柱は一般的に梁等と接合する際には、側面を欠き込み、梁等を突き刺す形で固定させます。
それにより、通し柱の断面積は欠き込みにより小さくなり、4寸角程度の通し柱では強度が確保できないと言われる場合があります。
よって、最近では通し柱を欠き込まずに、接続金物を使って固定するケースが増えています。
なお、昔の通し柱は今よりとても太い柱を使用されていることが多く、多少の欠き込みでも強度が落ちる心配はありませんでした。
通し柱の必要性
最近の住宅では通し柱を使用するケースが減ってきています。 理由は、通し柱は柱長が長いため高額となるためです。
一般的に4mを超える柱は材料自体の価格も高く、また運搬費用も高額となりやすくコストパフォーマンスが悪くなります。
予算に限りがなく、材料が置ける土地が広い場合であれば質の良い通し柱を採用できますが、コストや建坪が限られる中で、無理に通し柱を使用するケースは減ってきています。
通し柱と同等の柱
建築基準法第46条第5項のただし書きにもあった通り「接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した柱」であれば必ずしも通し柱とする必要がなく、この手法を採用されるケースが増えています。
具体的な補強方法は、梁勝ちとなっている上下にある管柱を「ホールダウン金物」を使用し連結する方法です。
梁勝ちとは、柱の上に梁がある状態を指します。
さらに、管柱とは「くだばしら」と呼ばれ、通し柱とは異なり梁等で分断される柱を指します。
ホールダウン金物とは「引き寄せ金物」とも呼ばれ接続部が抜けるのを防ぐための金物で、今回のケースは管柱の上下に取り付ばけます。
地震に強い家とするため、通し柱が必要だと考える方も多いと思います。
しかし、現在では建物を立てる技術が進み、必ずしも昔ながらの通し柱が必要というわけではありません。
耐震性やコスト面・柔軟な間取りといった様々な要因を考えながら、住宅の構造を検討するのが良いでしょう。