「 瑕疵担保責任 」とは(住宅建築 用語解説)
瑕疵担保責任とは「カシタンポセキニン」と読み、売買や請負契約等の目的物に瑕疵(欠陥)があった場合に、売り主・請負人が買い主・注文者に対して責任を負うこととなり、瑕疵を修繕したり、瑕疵によって生じた損害を賠償したりする責任のことをいいます。
新築住宅について
住宅品確法では、新築住宅の売買契約の売主や工事請負契約の請負人に対して住宅の「構造体力場主要な部分」等の瑕疵について、10年間の瑕疵担保責任が課せられています。
しかし、この瑕疵担保責任の期間内に売主等が倒産してしまうと、瑕疵担保責任が十分に履行されないことが考えられます。
このため、平成19年に売主等が瑕疵担保責任を確実に履行するための資力確保を行なうことを定め、買い主が住宅の瑕疵について損害の賠償等ができるよう、『特定瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律』(通称「住宅瑕疵担保履行法」)が制定されました。
住宅瑕疵担保履行法は大きく、「①売主が瑕疵担保責任を履行するための資力の確保」、「②瑕疵担保責任の範囲」、「③紛争処理体制の確保」が定められています。
住宅の販売会社等は、瑕疵担保責任を履行するため、次のいずれかの方法で資力の確保をする必要があります。
1)住宅瑕疵担保責任保険の加入
国土交通大臣が指定する保険法人との間で保険契約を締結し、瑕疵が判明した場合、その補修費用等をこの保険よりてん補されます。なお、加入するには一定の設計施工基準を満たす住宅でなければなりません。
2)保証金の供託
法律で定められた金額(保証金)を現金や国債などにより法務局等の供託所に預けなければなりません。
販売会社等が倒産等により瑕疵担保責任を履行できない場合に、この供託された保証金を利用されます。
瑕疵担保責任の範囲は、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の進入を防止する部分」となっていいて、具体的には次の部分です。
1)構造耐力上主要な部分
基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 ( 引用:建築基準法施行令第1条第3号)
2)雨水の進入を防止する部分
①住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具
②雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分*¹
(引用:品確法施行令第5条第2項)
*1 雨水を排除するための排水管のうち屋根、外壁の内部又は屋内にある部分とは、雨水を排水する管のうち外壁に出るまでに屋内の中を通っている管等を指します。
住宅瑕疵担保履行法による住宅瑕疵担保責任保険が付保された住宅では、売主と買主との間で紛争が生じた場合は、指定住宅紛争処理機関による、紛争処理手続き(あっせん・調停・仲裁)を利用することができます。
なお、上記で説明した瑕疵担保責任の対象となる新築住宅は、『建設工事の完了日から1年以内の住宅で、まだ人が住んだ事が無い新築』であり、戸建て住宅や分譲共同住宅、賃貸共同住宅となりますので注意してください。
中古住宅やリフォームについて
中古住宅やリフォーム等の住宅では、民法で瑕疵担保責任が適用されます。
令和2年4月1日から民法が改正され、売主等の責任が「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと変わりました。
「瑕疵」という言葉は、日常的に用いられるものではなく、意味が分かりにくい面があることから、改正民法では、売主等の責任が発生するのは、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」場合であることを規定されています。
今までは、売買等における瑕疵担保責任は「隠れた瑕疵」についてのみ発生することとなっていましたが、改正民法では「隠れた瑕疵」についての要件が無くなっています。
改正民法における契約不適合責任の対応として、旧法から存在する損害賠償請求及び契約の解除に加え、履行の追完請求及び代金減額請求が追加されています。
なお、これは請負契約にも準用されています。
責任追及の権利行使期間についても、旧法では「瑕疵を知った時から1年以内に行使」となっていましたが、改正民法では「不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知した場合、1年経過後であっても権利の行使が可能」となり買主への保護が強化されています。
瑕疵担保責任や契約不適合責任での契約時の注意点について
契約時に多種多様な説明を受けることになり、瑕疵担保責任等の説明がその説明の中に埋もれがちになってしまうことが多いのが現状です。しかし、実際に瑕疵が発生した際に慌てないよう、当初の契約時に、しっかりと対象となる法律や問い合わせ先等を売主へ十分確認することが必要です。
民法に基づく請求が必要となった場合には、消費者センターや弁護士へ相談することをご検討ください。