「熱線反射ガラス・熱線吸収ガラス」(用語解説)
経済産業省に資源エネルギー庁を設けて「省エネ化」が進められています。省エネを進めていく上で重要なことの一つは、冷暖房エネルギーを少なくするということです。
冬は室内の温かい空気が逃がさないこと、夏は室外からの熱を室内に侵入させないことにより、少ない暖冷房エネルギーで快適に過ごすことができるようになります。そのために重要なのが、冬に熱を逃がさない「断熱」と、夏に熱を侵入させない「日射遮蔽」です。
夏に室内の温度が上がる最も大きな要因が、外部からの日射熱です。
建物の内部と外部の熱の行き来が多く行われるのが窓ですが、その窓ガラスも進歩しています。夏の暑さを遮るためのひとつの手段として、窓ガラスを「熱線反射ガラス」や「熱線吸収ガラス」にするという方法があります。
熱線反射ガラスとは
熱線反射ガラスを使用した建物
熱線反射ガラスとは、 ガラスの表面にごく薄い金属膜をコーティングしたガラスです。
太陽光を反射して熱の通過量を抑え、光の通過を30~40%遮蔽することにより冷房負荷を低減できます。
優れた省エネ効果があります。
また反射ガラスの特徴でもあるハーフミラー効果は、四季や気候の変化によって建物に個性豊かな表情を創りだします。
このハーフミラー効果により、昼間の室内側が暗い時は、表面反射により外から室内が見通しにくいので、プライバシーを守ることができます。 反対の室内側からは、違和感なく外を眺めることが可能です。
熱線反射ガラスは、強化ガラスにも加工できるので、高層オフィスビル、店舗や商業施設、体育館やホールなどで使われることが多いようです。 住宅用として熱線反射ガラスが省エネ効果を期待して使用される事は少なく、室内を見えにくくする目的で使われる方が多いです。
一般的な住宅に視線防止の目的で、単板の熱線反射ガラスを採用するよりも、ある程度反射するLow-Eガラスなどの高い断熱性能と日射遮蔽性能を両立しているペアガラスの方がおススメです。
Low-Eガラス (引用元:YKKAPホームページ)
熱線吸収ガラスとは
熱線吸収ガラスは、ガラスの原料内に少し金属成分を混ぜ、光が持つ熱エネルギーをガラス自体に吸収させるものです。
ガラスが熱を持つことにより、透明度が下がり光の透過率も下がります。
熱線吸収ガラスは、ガラス原料に金属を加えて着色したガラスであり、ガラスの厚みが厚くなるほど、色調が濃くなります。メーカーによって透過色の取り扱いが変わります。
熱の吸収によってガラス自身の温度が高くなり、透明のガラスより熱割れしやすいというデメリットがあります。通常、ペアガラスで室内側に熱線吸収ガラスを設置し使用します。
「省エネ化」は、一般住宅においても推奨されています。窓など開口部の断熱や遮熱は、一般住宅の省エネを実現するために有効です。その一つの選択として窓ガラスを熱線吸収ガラスにするという方法があります。
ガラス内に熱を吸収するので、条件によって「熱割れ」という現象が発生します。 間取りや設備の位置を検討し、ガラス面に急激な温度差が生じないように配置する必要があります。