「 縁側(えんがわ) 」とは(住宅建築 用語解説)
縁側イメージ
縁側とは一般的に、和室と屋外の庭との間にある空間のことで、建物のヘリ部分から張り出して造られた板敷きの通路のことをいいます。縁側は日本建築(和風家屋)独特のもので、自然に対して開かれた造りをしており、縁側は内と外との境界をあいまいにしていくスペースです。
西洋建築(欧風建築)にあるウッドデッキ・ポーチ・テラス・ベランダ等は、意匠的に似ており同じような役割を持っています。
縁側の代表的な種類は2つで「濡れ縁」(ぬれえん)と「くれ縁」があります。
濡れ縁イメージ
「濡れ縁」は雨戸などのある建物の外周に造られるため、屋根も無く雨が降ると濡れるという意味から付けられた名称です。
くれ縁イメージ
「くれ縁」は雨戸や窓の内側につくられた縁側のことで、家の一部として設置されており、屋根の内側にあります。広いくれ縁のことを「広縁」と呼び、畳敷きの広縁もあります。
くれ縁の床板は、敷居と平行に長手方向に沿って並べられており、建物に対して直角に板を貼り、木口を見せたものを切れ目縁といいます。
板張りの場合、ヒノキ・ヒバ・ツガ・松の柾目を主に、ブナ・ナラ・カシ・栗など堅木の縁甲板を使います。
日本家屋の特徴でもある縁側の現存する最も古い造りが見られるのは、奈良時代に建立された法隆寺東院の伝法堂といわれています。その後、平安時代には床板が広く貴族の間で一般的になり、母屋の周囲に別棟である「庇(ひさし)の間」が作られるようになり、その間を繋ぐ廊下が縁側の起源とされています。
法隆寺 伝法堂
くれ縁のように内部に造られた縁側は、外部と部屋の間にワンクッションスペースを設けることで、1年を通して部屋を快適な温度に保てます。
夏には部屋に直射日光が入るのを防ぎ、室内温度を下げてくれます。また、外部の縁側の場合は軒を作ることで、日陰部分が生まれます。縁側や軒が室内に直射日光が入るのを防ぐことで、冷房などの省エネ効果も高くなり、光熱費の節約にもつながります。
寒い日には縁側が冷気を遮り、温かな日差しを取り入れてくれるサンルームのような役割も担ってくれます。外に洗濯物を干せない時にはランドリールームとしても使えます。
縁側を部屋と同じ高さに設置すると部屋を広く見せる効果も期待できます。縁側と居室の床材や雰囲気を統一させることで、一体感が増し開放感のある広々とした空間になります。広縁を設けて扉や窓を開け放てばアウトドアリビングとしても活用できるでしょう。
縁側を造るデメリットとしては、通常より費用がかさむことも一つです。
庭の景観を楽しむのであれば庭の手入れも欠かせませんし、縁側を造るスペースも必要です。
また、開口部が広いため、防犯面やプライバシーを守る工夫も必要です。