「 縁甲板(えんこういた)」とは(住宅建築 用語解説)
「えんこういた」または「えんこいた」とも呼びます。
縁甲板とは、日本の伝統的な家屋の廊下や壁などに使用される和風の床用木材・フローリング材のことです。
元来はヒノキ、杉、松などの針葉樹が用いられていたのですが、最近では広葉樹や輸入木材も使用されるようになっています。
サイズは、幅90mm ~ 300mm・厚さ15mm ~ 30mm・長さ1.8mほどの木板で、板を組む時に凸部分を凹部分にはめ込む本実加工(ほんざねかこう)をしています。
このような実(さね)の形状にすることで、表面に釘の頭を出さずに木材の浮き上がりを防ぐことが可能になります。
縁甲板は縁側(外廊下)の甲板として使われていたことが語源となっています。昔の日本家屋は寒さ対策として部屋が内側にあり、部屋の外側を取り囲むように作られた廊下が作られていました。
現在では縁側がある伝統的な日本家屋は少なくなり、縁甲板はフローリングと同じような意味で使われるようになっています。
日本農林規格(JAS)では、フローリングは無垢の木の一枚ものを加工した単層フローリングと、薄くスライスした単板を合板などに上貼りした複合フローリングの2種類に分かれます。長さの規定はなく、縁甲板は単層フローリングの一種に該当します。
建築業界では一般的に長さ1.8m以上を縁甲板、それ以下の長さのものをフローリングと呼んでいます。
縁側のある家が都会ではほとんど見られなくなった現在では、内廊下や床材として使われていることが多いようです。
住宅業界の標準仕様として一般的に採用されている縁甲板は、建材メーカーの既製品で、基材の合板の表面に化粧単板や化粧シートを貼ったものや、表面特殊塗装を施した複層縁甲板のものがほとんどです。
WPCえんこう(参照HP:DAIKEN)
無垢材の縁甲板の特徴としては、天然木本来の美しさや質感を味わえるのですが、表面に節や入り皮が入ることも多いです。乾燥収縮により、反りやむくりなどが多く、各部材間や巾木などの取り合い部ですき間が生じることがあります。
また、施工にも注意が必要で、傷やクラック(割れ)が発生しやすい特徴があります。