「なぐり(名栗)加工の床材 」とは(住宅建築 用語解説)
「 なぐり(名栗)加工 」の床材とは、日本の伝統技術のひとつで、木材の表面をさざ波のようなやわらかな凹凸を施した床材を指します。
また、なぐり(名栗)加工とは、千利休が流行らせた木材加工と言われており、釿(ちょうな)と呼ばれる工具を用いて、材木表面を粗削りし独特な模様で系統化したデザインを指します。
釿(ちょうな)(上)と墨壺(下)
この加工は、古くから門扉や濡れ縁・腰板など日本建築の様々な場所で使用されており、一般的な平たい仕上げとは異なり、躍動感のある雰囲気を演出することができます。
最近では、和室だけでなく洋室のアクセントとしても使用されているようです。
名栗加工の床材
名栗加工の種類
制作している会社によって様々な加工の種類を生み出しているようですが、代表的なものを紹介します。
亀甲(きっこう)
最も一般的な形で亀の甲羅模様に似ている事から亀甲(きっこう)と呼ばれています。
一見、同じ形に見えますが、わずかに異なる六角形が並んでいます。
流水
木の表面を水が伝わっているような小さめで細長い模様です。
規則正しく並んでいるようですが、実はひとつひとつの形がほどよくくずれた形になっています。
スプーンカット
スプーンで削ったように丸みを演出する加工方法で、和の空間だけでなく、洋風の空間にも用いられることもあります。
適度に平らな部分を残してあるため、二種類の感触を味わう事ができます。
ナイフカット
「斧(ヨキ)」によるはつり加工をイメージした、鋭角な削り跡が連続して並ぶようにする模様です。
シャープな削り跡を活かした浅彫りが、幾何学的でいきいきとした表情を作り出します。
名栗加工の使用場所
なぐり(名栗)加工は、壁や柱等様々な場所でデザイン的に使用されますが、一般的には床材に使用されることが多く、表面を削る必要があることから、厚みのある無垢の床材に施されます。
名栗加工(床材)の古民家
無垢の床材の特徴
無垢材は、木がもともと持っている自ら呼吸する力によって、湿度が高い季節には適度に吸湿し、乾燥する秋から冬にかけては放湿し、室内の湿度バランスを保つ働きがありあります。
無垢の床材
ビニール素材や化学塗料等で表面を加工された複合板の床材は、空気や湿度を通しにくいため、夏は床がベタつき、冬場は冷たいと感じることがありますが、無垢材の床はそれが少なく素足でも過ごしやすいと感じるはずです。
複合板の床
さらにその床を名栗加工とすることで、無垢の床材の特徴を生かしつつ、足裏に触れる瞬間に程よい刺激を与えてくれ心地良さをワンランクアップさせることができます。
一方で無垢の床材は、表面はあまりコーティングされていないことから、表面に傷がつきやすく、日焼けや水跡が残りやすく、また、経年変化による収縮や反りが発生することがあります。
そのため、無垢の床材を使用する際は、専用のワックス等を使用し、こまめにメンテナンスが必要となります。
また、無垢の床材は複合板の床材に比べ高価なうえ、1枚の幅が狭いので施工の手間もかかることからコストが高くなります。
■無垢の床材の幅は75~90mmが一般的
■複合板の床材の幅は150~190mmが一般的
よって、リフォームの際はすべての部屋を名栗加工の無垢の床材とするのではなく、客間、玄関ホールやリビング等「こだわりたい」部屋に限定して使用することをおすすめします。
無垢の床材は複合板の床材より厚みがあるため、リフォーム工事の際は既存の床との段差が出ないようフロアレベルを合わせる必要があるので注意してください。
左:無垢 右:複合板
無垢の床材を使用する際は、デメリットともいえる表面の傷や経年変化等も含め「趣や風合いを出してくれる床」であること理解し楽しむ姿勢が大切です。
何枚も靴下を重ねて履かなければ歩けない冷たい床は、体に負担をかけ続けます。
自然の力を上手に取り込んで、安心して過ごせる快適なこだわり空間を作ってみませんか?







