梁(はり)を見せる 古民家リフォーム【梁あらわし】
こんにちは!
本コラムでは、古民家の「 梁を見せる(梁あらわし)」リフォームをご紹介します。
古い家で、よく相談を受けることが
・天井の低さ
・空間の暗さ
背が高い人にとっては、天井の低い家は圧迫感を感じてしまうもの。
毎日、家の中で高さを気にして歩かなければならないのは、ストレスが溜まりそうですね。
梁を見せるリフォームの第一メリットは、天井の高さを確保できること。
長年の悩みを解決しながら、低い天井が感じさせる圧迫感を軽くすることができます♪

滋賀エリアの中には、築100年を超える古民家を大切に受け継いでいるご家庭も多く、切り出した木の形をそのまま使用しているため、その重厚感を求めて「 梁を見せたい 」というご要望をいただくことも少なくありません。
もちろん、解体して新築の家を建てるほうが簡単な場合もあります。しかし「家が古いからリフォームは無理」と諦めるのは早いかもしれません。
実際に、瓦屋根が飛んでしまった小屋の骨組みだけを残してリフォームしたときには、梁や柱など基礎の構造の古い味わいを生かしたフルリノベーションを行ったこともあります。
昔作られた小屋の中には、筋交いが入っていないものもあるので、そのような場合には、耐震補強もプラスしたプランニングをご提案します。骨組みだけを残すリフォームなら、強度や断熱効果の対策を組み込むことができるので、冬の寒さの厳しさや、ちょっとした振動で揺れるような状態を改善することも可能です。

中古「戸建て」購入後のリフォーム
中古住宅を購入され、以前、弊社で水まわりリフォームをされたお客さまから、今回は、2階の2部屋をつなげて寝室へリフォームするというご依頼をいただきました。
お客さまがイメージされていたのは、天井が高く見える勾配天井に梁を見せたデザイン「梁あらわしの寝室」でした。
梁を見せる工事の施工可否を判断するには、「小屋組み*¹がどうなっているか」で決まります。
現場調査に伺い、押入れ点検口から天井裏をのぞいてみたところ、なんと、寝室にしたいと希望されている部屋部分だけが丸太を使用した登り梁*²になっており、梁を見せる工事が可能な小屋組みでした。


お客さまの理想の梁見せ工事ができそうです。中古住宅購入の際には天井裏の確認まではしていなかったそうですが、今回はとてもラッキーでした。
(*1)小屋組み:建物の屋根を支える骨組み
(*2)登り梁:一般的な屋根組みの場合、棟木に直行して水平に梁を設けますが、水平にではなく、屋根の勾配などに沿って登るように設けられた梁のこと。梁をみせずに勾配天井を造る際に採用されます。
【 工事前 】
寝室へと改修する部屋の現在は、和室と納戸です。

この2部屋の間仕切壁を撤去し、10畳ほどのワンフロアにします。
天井を解体して梁の状態を確認してから、部屋全体のイメージを決定することになりました。
【 解体~工事中 】


リフォームの解体工事は、サッシの入替や電気配線工事の段取りを踏まえて、順々に行います。
ですので、サッシや外壁、床板はまだ古いまま残っています。
現場調査時にはイメージしにくかったのですが、天井と間仕切壁を解体し、改修後の部屋の輪郭があらわれ、お客様も部屋のイメージをしやすくなりました。
リフォームでは、解体してみたらこんなことになっていた!なんてことは多々あります。
今回も梁にひび割れがたくさんあったり、母屋に虫食いがあったりしました。
私たちはその都度、お客様と相談し、一緒に考えてより良い空間をつくっていきます!
床板の強度を高めるため、根太組みされた下地へさらにべニアを敷く「捨て貼り」を行います。
お施主様の今回の工事のもう一つのこだわりが、部屋の防音でした。床には、吸音ウール、遮音マットを使用しています。

< 吸音ウール(左) / 遮音マット(右) >
床下地工事を行った後は、壁、天井下地工事をしていきます。
ここで、お施主様、大工さん、私の3人で天井下地をどの角度でどの高さで組んでいくかを現場で相談し、決めていきます。
梁の見え方で部屋のイメージが変わりますので、お客様のこだわりをカタチにする大切なポイントです。
今回は外壁側から1本目の母屋辺りで少しだけ天井勾配を変化させました。
天井裏には断熱材のグラスウール155mmを敷き詰めています。

< 壁下地工事 >

< 天井下地工事 >
石膏ボードを貼って、あらわになった梁に塗装を施し、クロス工事で完成です。

< 石膏ボード貼り・梁塗装 / クロス工事 >

梁に色を入れないクリア塗装の例
長年、天井の裏に隠されていた梁は、虫食いやカビに侵されている可能性が高く、解体して見てみるまでどのような状態か確認ができないため、リフォームを始めてから「こんなに傷んでいたの?」と驚くことも少なくありません。
ですが、もともと梁に使われている材木は太さがあるだけでなく、梁にふさわしいだけの強さを持っているものです。そのため、腐食した表面を削り、防腐処理などの補修を丁寧に行うと、そのまま活かすことができる場合もあります。
こちらは築45年以上の建物を解体したところ、大きな梁が出てきた事例です。

通常は、虫食いやカビなどを隠すために黒や濃い茶色で着色することが多いのですが、今回はお客さまの意向もあり、色を入れないクリア塗装を施工させていただきました。
まずはグラインダーという機械を使って、梁の表面の汚れを削りとります。

写真では、この状態でもきれいに見えますが、よく見ると虫食いがひどいところがあり、専用のパテで補修してクリア塗装仕上げをしました。

しっかりとした木目を出して、重厚感の中に木のぬくもりを感じる仕上がりとなりました。
築100年を超える古民家でも、リフォームで新たに生まれ変わることが可能です。
おしゃれな照明をつけてモダンレトロに

照明器具を変えることで、想像以上の空間をつくることもリフォームの楽しみです。
ダウンライトやスポットライトと梁を上手に組み合わせると、モダンレトロのような趣のある空間になります。
またリビングやダイニングキッチンの天井を高くするなら、光が多方向に広がるシーリングライトなどもおすすめ、室内全体の明るさをトーンアップすると、空間の広がりが生まれます!
さらにLED電球を使うと、電気代のコストも抑えつつ、寿命が長いので取り替えのお手入れも楽になります。

梁見せのリフォームは、天井が剥き出しになるので、照明の配線などを隠しづらい点はデメリットかもしれません。

この場合は、梁に沿って配線を這わせたり、梁を全部見せたりするのではなく部分的に天井をつけて、ダウンライトやシーリングライトを設置することで解決できます。
最近では、あえて低く吊り下げて、配線やチェーンを見せるアンティークタイプやインダストリアルなデザイン照明もあります。自由度が高く、和の家との相性はとても良いので、こういった照明で遊んでみるのも面白いのではないでしょうか。
断熱対策が重要

こちらも築100年の家、昔ながらの家はどうしても冬が寒いので、あたたかく暮らせる家をというご要望もありました。
梁を見せるリフォームと言うと、「寒くなりそう」というご心配をいただくのですが、壁や天井の断熱性をアップすれば、むしろ以前よりあたたかな家へと改築できます。
こちらの家では、梁を出しつつも天井の高さを 2m50cmで抑え、まわりに断熱材を敷き詰めて、蓄熱暖房器を備え付けたので室内全体があたたかさに包まれています。
こちらの住まいでは採用していませんが、天井にシーリングファンをつけて、上に集まったあたたかな空気を循環させるという方法もあります♪

歴史のある家を引き継ぐ
全国で、古民家再生が静かなブームになりつつあります。それは「 先祖代々受け継いだ土地と家屋を大切に守り、次の世代へ引き継ぎたい 」という深い思いがあるのかと思います。
また古民家のように数十年の時を超えて堂々としている家の部材は、強度が高いものが多いため、骨組みを生かすリフォームで耐久性の高い家に生まれ変わらせることができるのもメリットです。今では太さのある梁はかなり高価でもあり、部材の費用をあまりかけないで済むのも助かりますね。

その一方、生活のスタイルやインテリアの好みが世代によって変化する中で、古くなった家のリフォームには迷うこともたくさんあるかもしれません。それでも、愛する家に長く住みたいと思う気持ちがこもったリフォームは、きっと「やって良かった」と感じることができる日が訪れるのではないでしょうか。
「 家が老朽化して、できれば建替えたいけど、お金も引っ越しなどの労力もかかるからそのまま我慢しよう 」と思い込まずに、昔は難しかった修復でも、今はできるようになっていることもありますから、諦める前に一度リフォームのプロにご相談ください。
もちろん古民家の場合は、全体の強度を確認する必要もあり、大掛かりな改修になることもあります。古民家について、しっかりとした知識と技術を持つリフォーム会社でなければ失敗する場合もあるため注意が必要です。
(家を取り壊して新築を建てた場合は、固定資産税が高くなりますが、古民家の再生ならこのデメリットも回避できます)
文: 岡山・伊藤・ブランド戦略室