【 下水道引き込み工事 】トイレ&浴室リフォーム
お住まいの地域の下水道が整備されたのをきっかけに、それまで屋外にて使用していた「汲み取り式のトイレ」を「衛生的な水洗トイレ」へリフォームされることになりご相談いただきました。
トイレや浴室・キッチンなどから出る生活排水を「公共下水道管」の本管につなげ排水を可能にする工事は、下水道引き込み工事と呼ばれ、その排水は排水処理場まで運ばれ、綺麗な水に処理され河川に放流されます。
なお下水道法では、下記のように定められています。
下水道法第十条
公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従って、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠(きょ)その他の排水施設を設置しなければならない。(下水道法 第十条より引用)
また下水道工事を施す際には、宅内から出る排水をすべて公共桝(ます)につなぐ必要があります。そういった理由から「トイレだけ下水につなぎたい」等は不可能となります。
お客さまのお宅は、まだ下水接続をされておらず、トイレ以外の雑排水(キッチン・洗面・浴室等)は、雨水と同様に家の周りの溝に流していましたので、今回のリフォーム工事と合わせて下水道工事も一緒に行うというプランで、トイレは屋内に移動。
キッチン・浴室・洗面は、既存の設備のままで排水をつなげる計画をしました。
そのプランで水まわりの排水を確認していくと、キッチンと洗面は床下で排水を切り替えられるのですが、浴室の排水には課題が多く見つかりました。
浴室はこのような在来浴室で、排水はそのまま隣の溝に流れていました。
この浴槽の下は土とコンクリートなので、この下から排水を繋ぐことは不可能で、溝に排水されている箇所から下水へ繋ぐ方法しかありませんでした。
そこで下図のような配管経路にするために、溝に排水管を通してよいかを下水道課に相談に行きました。
< 溝に排水管を通すイメージ >
下水道課はOKを出してくれましたが、都市建設部にも許可をもらって欲しいと言われ、相談に行きました。
都市建設部の見解では、新たに設置される配管の分、溝が狭くなり溝掃除が出来なくなる懸念があるのということで許可をいただくことが出来ませんでした。
状況を整理すると・・・
浴室を下水に繋ぐことが出来ない
↓
下水道工事が出来ない
↓
トイレを水洗化できない
↓
お家の中にトイレを持ってくるのがほぼ不可能
ということになってしまいました。
そこで、思い切って浴室を別の場所に移設することをご提案。
お客さまも一緒になって考えていただき、「今は、もうこんなに大きな店舗は必要ない」という事で店舗の一部に浴室をもっていくプランをたてました。
和室の一部の壁を解体することで、室内から脱衣所や浴室までの動線も確保できました。
< 和室の一部を解体している様子 >
下水道の公共桝まで集める配管ルートを下図のように計画しました。
計画に沿って工事を進めていきます。
新しく屋内に設置するトイレの配管を立ち上げます。
< 内部配管① >
汲取り式から下水道へ切替工事を行う場合、トイレ改修は必須となります。
その場合、リフォーム期間中はトイレを使えなくなります。
※工事期間中は、仮設トイレを設置します。
和室の床下に配管を通し、新しい浴室と既存のキッチンの排水をつなぎます。
フローリングでは難しい作業ですが、和室なので畳上げをし、部分的に杉板を外して作業が出来ます。
< 内部配管② >
トイレ以外の水まわりを床下接続だけ行う場合、接続工事中は水廻りを使うことができませんが、おおよそ半日程度で終了するので、その後は使用することができます。
外まわりがコンクリートの場合はカッターを入れ、土を掘ります。
< 外部配管① >
< 外部配管② >
< 外部配管③ >
排水場所、コーナー部分に桝を設け、配管で繋いで公共桝に配管工事が終了したら、コンクリートを打って完了です。
工事期間は、屋内配管で1~2日。屋外配管で1~2日位です。
その他、トイレや水まわりのリフォームは、別に日数がかかります。
下水道工事だけではなくリフォーム全般ですが、特に水まわりに関する工事は、工事期間中に水まわりを使用できないことは念頭に置く必要があります。
また下水道工事を行う場合は、家の周りを掘削することが多いので、段差ができ歩きづらい、車を停めていたところを掘削していると、停められないこともあります。
リフォーム工事中は普段の生活と異なり、お客さまも不安に思われることが多いと思います。そのため当社では、工事中に発生するデメリットについても事前にご説明することで、少しでも安心していただけたらと思っています。
当初、浴室のリフォームまで考えておられなかったお客さまも、きれいになった浴室に大満足していただけているご様子でした。特に暖かくなったと喜ばれていたのが印象的でした。
以前は浴室の室温が、外の気温とほぼ同じ状態だったので、部屋の中で着衣を脱ぎ、急いで湯船につかって温まっておられたそうですが、リフォーム後は、入浴前に浴室暖房のスイッチを入れ、浴室のドアを開けて脱衣所も温めてから、ゆっくりと入られているそうです。
ご高齢の方でしたので、ヒートショック予防にもなり良かったです。
冬場は、寒くて入浴を躊躇してしまい2日に一度になってしまっていたそうですが、今では毎日お風呂に入られているとの事。
そのことをニコニコしながら話してくださり、私もとっても嬉しくなりました。
文: 植村