建築「確認申請」が建築基準法改正で変わる!(4号特例) | TOTOリモデルサービス

建築「確認申請」が建築基準法改正で変わる!(4号特例)

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2022年~2025年までに建築基準法や省エネ法・時間外労働規制等様々な法改正が施行されており、建築業界では対応に追われています。
本コラムでは、2025年4月までに施工される法改正について、住宅業界および、リフォーム業界への影響を踏まえ解説していきます。

 

【 目次 】

1.法改正の背景

 

今回の法改正の背景としては、2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向け、地球温暖化対策等の削減目標を強化することが起因となっています。
国際社会において地球温暖化対策が遅れている日本において、省エネ基準改正は早急な責務となっています。

 

法改正は2022年より既に実施されており、2025年4月の法改正が最後で主な改正は次のとおりです。

 

■ 2022年9月1日施行
・住宅の省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度

 

■ 2023年4月1日施行
・住宅トップランナー制度の拡充
・採光規制等の合理化
・省エネ改修や再エネ設備の導入に支障となる高さ制限等の合理化 等

 

■ 2024年4月1日施行
・建築物の販売・賃貸時における省エネ性能表示
・再エネ利用促進区域制度
・防火規制の合理化 等

 

■ 2025年4月施行(予定)
・原則全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付け
・構造規制の合理化
・建築確認審査の対象となる建築物の規模の見直し
・二級建築士の業務独占範囲の見直し等

2.2025年4月改正の概要

 

2025年4月の法改正の中でも住宅業界が注視しているのは、「建築物省エネ基準適合を義務付け」と「建築確認審査の対象となる建築物の規模の見直し」が上げられます。
この2つの改正はそれぞれ別々な改正を行なったのではなく、それぞれ密接に関係しています。

 

建築物省エネ基準適合を義務付け


現行法では、300㎡の小規模な建築物への省エネ基準適合はあくまでも任意であり、施主の希望により適合させなくても良いものでしたが、今回の法改正により原則すべての建築物へ適合が義務付けられました。

この「原則」となっているのは、「10㎡などの規模が小さい建築物の増改築」や「現行制度で適用除外(車庫や倉庫等)とされている建築物」は適用除外となっているためです。

 

引用: 国交省 住宅局 建築指導課発行チラシ

「全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられます」

 

 

この省エネ基準への適合は新築だけでなく増改築を行う場合にも対象となりますが、修繕・模様替え(リフォーム含む)は含まれません。

 

また、現行法では、増改築をする場合、既存部分まで省エネ基準を満足する必要がありましたが、本改正では、特定の基準を満たせば(注1・2)住宅・非住宅ともに増改築を行う部分のみ省エネ基準に適合すれば良いこととなっています。
注1) 増築部分の壁・屋根・窓などに、一定の断熱材や窓等を施工すること
注2) 増築部分に一定性能以上の設備(空調・照明等)を設置すること

 

理由としては、努力義務から適合義務となったことで、修繕・模様替え等への負担増を考慮したものと考えられます。
 

 

■増改築時の規制の概要(改正後)

 

引用: 国交省 HP「建築物省エネ法第10条」

省エネ基準適合義務の対象拡大について

 

 

■ 建築確認審査の対象となる建築物の規模の見直し

現行法における4号(以下、「旧4号」という。)建築物には、建築士が設計する場合、特定の条件を満たせば建築確認時の法審査を一部省略できる「4号特例」という制度がありましたが、省エネ基準の審査が必須となったため新2号と新3号へ分ける改正がなされます。

 

引用: 国交省 住宅局 建築指導課発行チラシ「2025年4月(予定)から4号特例が変わります」

 

 

■ 各建築物の詳細

引用: 国交省 住宅局 建築指導課「建築基準法・建築物省エネ法改正法制度説明資料」

 

 

新2号の見直しのポイント

 

1.すべての地域で、確認申請が必要に

※従来は、都市計画区域等の区域外では確認申請が不要でした。

 

2.確認申請の際に、構造関係規定等の図書の提出が必要になります。

※旧4号建築物から新2号建築物に移行する建築物のうち、仕様規定(壁 量基準等。以下同じ。)の範囲で、構造安全性を確認する計画については、 必要事項を仕様表等に記載することで、基礎伏図・各階床伏図・小屋伏図・軸組図の添付を省略する等、合理化がなされる予定です。
※省エネ基準への適合義務化に伴い、事前に省エネ適判を受ける必要があ ります。(仕様基準(住宅用途のみ。以下同じ。)を用いることで省略でき る場合もあります。)


3.壁量計算や柱の小径等に関する基準が改正されます。
 

4.完了検査の際に、構造関係規定等に関して検査の対象になります。

 


また、新2号及び新3号の各審査項目は次のようになります。

 

引用:(一財)日本建築防災センター・(一財)建築行政情報センター

「2階建ての木造一戸建て住宅等の確認申請・審査マニュアル」

 

 

表を見てもわかるとおり旧4号の審査省略制度は、新3号への移行されています。
なお、新3号への省エネ基準については、「審査しない」とありますが、審査が無いだけで省エネ基準に適合させなければならないことを忘れはいけません。

 

 

■ 法改正に伴う手続き

法改正に伴い、新2号における確認申請時の提出資料が増えています。
省エネ基準適合に関する書類はもちろん、旧4号では省略されていた「構造規定」や「採光・換気」に関する図面も追加されます。

 

引用: 国交省 住宅局 建築指導課発行チラシ

「木造建築物を建築する場合の建築確認手続きが見直されます」

 

 

■省エネ適判が必要な場合

省エネの適合性に関する審査が増えることで、手続き先の増加や期間が延長することとなり、着工までさらに時間を要することとなります。

改正建築物省エネ法により、事前に「建築物エネルギー 消費性能適合性判定(省エネ適判)」を受け、確認申請の際 に適合判定通知書を提出する必要があります。


ただし、省エネ基準適合を仕様基準で確認する場合や、住宅性能評価書を取得し、その写し等を添付する場合等には、 省エネ適判が不要になります。省エネ適判が不要になります。

 

引用: 国交省 住宅局 建築指導課 参事官(建築企画担当)付

「2階建て木造一戸建て住宅等の確認申請・審査マニュアル」

 

 

■ 適用開始時期

法改正の適用は着工が2025年4月1日以降(以下、「適用時期」という。)の建築物となっています。
なお、当該法改正も適用時期以降の施行となっている関係上、適用時期以前での確認申請(着工は適用時期以降)は旧方式で実施することに留意が必要です。

 

その場合の取り扱いは、着工後(適用時期以降)から完了検査を受けるまでに指定確認審査機関に構造や省エネ適合がわかる資料を提出しなければならないとされています。
なお、2階ての木造一戸建て住宅等に係る壁量基準等については、経過措置として、2025年4月1日から2026年3月31日までは、現行の壁量基準等を活用することができます。

 

引用: 国交省 住宅局 建築指導課 参事官(建築企画担当)付

「改正建築物省エネ法・建築基準法の3年目施行について」

 

 

3.リフォーム業界の現状

 

国交省の「令和5年度 住宅経済関連データ」によると、平成15年度には1年間で1,147千の新設住宅がありましたが、令和4年度には861千戸と減少しているのに対し、住宅リフォーム市場は年々増加し今では「住宅産業は新築からリフォームへ」と言われています。

 

■ 新設住宅着工戸数の推移(総戸数、持家系・借家系別)

引用: 国交省 HP「令和5年度 住宅経済関連データ」

 

 

■ 住宅リフォームの市場規模

引用: 国交省 HP「令和5年度 住宅経済関連データ」

 

また、リフォームと言えば、以前は老朽化した内装の変更や水回りを修繕する「小規模リフォーム」が主流でしたが、現在ではコロナ禍による在宅時間の増加等により、住空間を再編し生活空間を快適にする「大規模リノベーション」が注目されています。
また、インフレによる新築住宅価格の高騰により、中古住宅に注目が集まっていることがリフォーム市場の拡大の要因と考えられています。

 

 

4.リフォーム業界の2極化

 

2014年度には、既存の住宅を長期にわたって良好な状態で使用できるようにするためのリフォームに補助金が出る「長期優良住宅化リフォーム推進事業」が開始され、国による住宅リフォーム市場規模の拡大に向けての支援策が導入されています。

 

このような国の後押しを受け、リフォーム市場へ積水ハウス・大和ハウス工業等の大手ハウスメーカーが参入し、さらには、ハウスメーカーだけでなく不動産業界や家電量販店もリフォーム市場への参入するなどリフォーム市場が激化しています。
このような中で、中小企業の住宅メーカーも新築住宅だけでは会社を維持することが難しくなり、リフォーム工事を主軸とする企業が増えることで、リフォーム市場がさらに激化することが予想されます。

 

これにより、リフォーム業界は「小規模リフォームの会社」と「大規模リノベーションの会社」2極化が進むことが想定されます。

 

「小規模リフォームの会社」とは

・老朽化した内装の変更や水回りを交換や修繕する程度の工事の受注を主軸とした会社。
・今回の法改正の影響はあまり受けないため、社内の大きな改正等は不要
・工事範囲が限定的であり不測の追加工事等のリスクが少ないのがメリット
・機器代と設置費のみであることが多く利益率が低いのがデメリット

 

「大規模リノベーションの会社」とは

・上記以外の全てを一新する工事を受注する会社
・今回の法改正の影響を受けるため、省エネ関連の事務手続きが増える
・工事内容が多岐にわたり工事金額が小さい割には新築と同程度の技術や手間が求められるため、大手ハウ  スメーカー等規模が大きい会社が有利

 

 

5.リフォーム業界への影響

 

今回の法改正では、リフォーム業界へ次のような影響があります。

 

■ 再建築不可物件でリフォームできない場合がある

法改正により新2号となる建築物で大規模修繕を行う際には建築確認申請が必要となります。
大規模修繕とは「築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」であり、具体的には柱や梁・壁・床・屋根・階段などの主要構造部のいずれか1種類以上を1/2以上交換する行う場合を指します。

 

例えば柱が20本あり、そのうち12本を交換するということになると、建築確認申請を行わなければなりません。その他にも、主要構造部である屋根を下地から取り換える等も大規模修繕に該当します。

 

旧4号で大規模修繕を行う場合には建築確認申請は不要であったため、再建築不可物件であっても柱や基礎だけを残して大規模にリノベーションする、スケルトンリフォームも可能でした。
法改正後は再建築不可物件の大規模修繕における建築確認がおりないことがあり、大規模なリノベーション等ができない場合があります。

 

■ コスト増化や工期の延長

省エネ基準に適合させるため使用材料が変わり今までよりコストがかかります。
また、施工期間や法手続き期間も長くなることで、会社の経費がかさむことからその部分についてもコストが増えることとなります。
そのすべてのコストは消費者へ請求することが難しい場合もあり、会社の負担が増えることも予想されます。

 

■ 工業化住宅等のハウスメーカーへの需要が高まる

大手と呼ばれるハウスメーカーは、当該法改正よりも前から省エネ基準に適合している場合が多く、改めて仕様を変える部分がほぼ無いと考えられます。
法改正による煩雑な書類関係も型式認定等を取得しているハウスメーカーの場合は、独自の計算ソフトを使用することで簡単に済ませることができることが予想されます。
こうした背景から、法改正に伴うコストの増加が少なく、素早く法改正に対応できることから、ハウスメーカーへの需要が高まることが予想されます。

 

一方で、中小企業の住宅メーカーは、煩雑な書類関係への対応できる人材も少なく、省エネ計算等を外部へ委託するケースも増えてくることが予想されます。
また、省エネ基準への不慣れからくる「断熱材の過不足」や「完了検査での不備の発見」等、今までにないリスクを負うこととなります。

 

■ リフォーム専門会社の受注機会の減少

省エネ改修を検討する住宅は、昔ながらの木造住宅ではなく、比較的築年数が浅い住宅であることが予想され、上記のような大手ハウスメーカーの住宅であることも少なくありません。
省エネ改修等は、屋根・外壁や開口部を扱うことも多く、型式認定を取得しているハウスメーカーの住宅は他メーカーがむやみに手を入れることができません。
ハウスメーカーではないリフォームのみを専門で扱う会社は、省エネ改修の受注機会を逃す恐れが考えられます。

 

■ 省エネに関する事務手続きを代行する会社の増加

法改正に伴い、省エネ計算、申請手続きや書類のとりまとめが煩雑となることから、それらを代行する会社が増えてくることが予想されます。
ネットで調べるだけでも既に省エネ計算代行会社がいくつも検索にヒットしています。

 

特に人材不足が顕著な中小企業は、それら代行会社と連携することで素早く法改正に対応することができる一方で、省エネ基準への知識向上の機会を逃し、代行会社へ依存していくことが予想されます。
施行中の設計変更と省エネ計算との連携が上手くいかないことによるトラブル等への対応が懸念されます。

 

 

6.影響のある他の法改正について

 

2025年4月の改正について詳しく解説しましたが、当該法改正は新築や増改築の場合に限り適用されることなり、しばらくは新築を扱う住宅会社への影響が大きいと考えられます。

そのため、私たちリフォーム業界への影響が大きいとされる法改正について触れます。

 

リフォーム業界への影響が大きいとされる法改正は、既に法施行済である次のものと考えます。
① 住宅の省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度
② 既存建築ストックの長寿命化に伴う緩和

 

1つずつ解説していきます。

 

① 住宅の省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度

既存住宅の省エネリフォームを推進するため、住宅金融支援機構において省エネ・再エネに資する所定のリフォーム工事に対して、金利を引き下げた融資(グリーンリフォームローン)が施行されています。

 

具体的には個人住宅において、「省エネ基準を満たすための断熱改修工事」または「省エネ設備設置工事」のいずれかの工事を実施することで、それ以外の工事を含めた最大500万円の融資を受けることができます。
さらに、一定の条件で手数料無料・無担保・無保証で融資を受けることができます。

 

工事着工前に、適合証明の申請および工事計画内容の確認が必要となることから、通常リフォームでは不要であった書類手続き等が発生することに留意が必要です。
また、適合証明検査機関の現場検査が必要で工事完成後の引き渡しのスケジュールにも影響が出ることが予想されます。

 

 

② 既存建築ストックの長寿命化に伴う緩和

既存建築物を省エネ適合改修する際において、建築基準法上支障となっている部分を一部緩和されています。
戸建て住宅に関係する主なものを解説します。

 

■ 住宅の採光規定の見直し
窓等の開口部で採光に有効な部分の面積について一定の基準がありますが、熱損失が生じやすい開口部につい改修工事を実施することで、基準を満たさなくなる場合でも、所定の照明設備を設置することにより緩和することができるようになりました。

 

■ 屋根の断熱改修や屋上への省エネ設備の設置等の省エネ改修等を円滑化
屋根の断熱改修や屋上に省エネ設備の設置に伴い、建築物の高さが建築基準法の制限を超えてしまう場合に許可を取得することで改修が可能となりました。

 

■ 建蔽率・容積率に係る特例許可
外壁の断熱改修や日射遮蔽のための庇の設置を行う場合、建築物の床面積や建築面積が増加することにより、容積率や建蔽率の制限に抵触する場合に許可を取得することで改修が可能となりました。

 

■ 既存不適格建築物における増築時等における基準緩和
既存不適格建築物について、増改築、大規模の修繕・大規模の模様替、用途変更を行う場合は、原則として建築物全体を現行基準に適合させることが必要でしたが、安全性の確保等を前提として、防火規定、防火区画規定等について、建築物の長寿命化・省エネ化等に伴う一定の改修工事を遡及適用対象外となりました。

 

それ以外にも建築物の長寿命化・省エネ化工事に伴う接道義務・道路内建築制限の遡及適用が緩和されています。

 

 

7.これからのリフォーム会社のあり方

 

近年では、SDGs等環境に配慮した企業や物が消費者から選ばれる傾向にあり、多少イニシャルコストが高めでもランニングコストに優れた物が選ばれています。
既に、建築物についても太陽光発電を設置する等ランニングコストを意識したものが選ばれてきており、当該法改正により、ますます消費者の意識が高まることが予想されます。

 

これからのリフォーム会社のあり方は、「省エネ改修をきっかけに生活費全体(生活スタイル)を提案できる会社」であることが重要と思われます。
省エネ改修で選択する断熱材や設備機器からランニングコストを算出し、住宅改修に伴う物理的な生活の質の向上だけでなく、生活費等のランニングコストの削減を元に新たな生活スタイルを提案することが重要です。

 

例えば、使用する断熱材や設備機器から算定される住宅の熱抵抗値を元に空調等の使用電力の削減を計算することで、居住費の変化を提案することが可能です。
ファイナンシャルプランナーのように、居住費だけでなく生活費全般を見直す等、住宅改修をきっかけにお客さまの生活費やライフスタイル全体を提案することも視野に入れることが求められる時代になると思います。

 

 

 


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