【 火災保険 】補償範囲と保険金の決まり方

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人は、生きている上で、必ずなにかしらのリスクを負っています。
唯一安心していられるのは我が家だけ?いえいえ、家にもリスクは付きまといます。

 

家が火事になってしまったら、泥棒に入られてしまったら、突風が吹いて大きなものが飛んでくるかもしれない・・・そのような時のために、多くの人は、火災保険に加入しています。
それでも火災保険、払ったことはあるけど使ったことないなぁという方も多くおられると思います。

ここでは、一般的な火災保険の範囲や選び方、保険金の算定方法などについて書いていきます。

 

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火災保険の実態と補償範囲について

保険金の請求はどのくらいされているのか?


リスクが想定されるといっても、現実に、どのくらいの人が火災保険に加入していて、どのくらいの人が実際に保険金請求を行っているのでしょうか?

 

東晶貿易株式会社運営の「保険のはてな」によって2020年に行われた「火災保険の加入状況と保険金申請の経験に関するアンケート」では、20~59歳の全国の男女2,405人のうち、火災保険の加入率は53.2%、そのうち保険金申請をしたことがあると回答したのは15.3%とのことでした。


これを多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれだと思いますが、火災保険加入者の6~7人に1人が保険事故に遭い、保険金の請求をしているということになります。
そしてその最も多い保険事故は、なんと風災。火災は2位でしたが、火災以外でも保険が効くのが火災保険なのですね。

 

 

補償の対象は火災だけではない


「火災」保険という名前からして火事に対しての保険であることは間違いありませんが、火災保険は火事以外の事故に対しても幅広く補償してくれるものです。
細かな補償範囲は保険会社によって異なりますが、一般的な火災保険の補償範囲は以下となっています。

 

火災・落雷・破裂・爆発・風災・雪災・ひょう災・水漏れ・水災・盗難など

 

例えば落雷によって瞬間的に電化製品に高電圧がかかり壊れてしまった、ガス漏れによる爆発が起きてしまった、台風によって雨どいが外れてしまった、突風が吹いて飛んできた看板が窓を突き破った、うっかりミスで壁に大きく穴を開けてしまった、空き巣にあってしまった、などに対しても広く補償してくれるというのです。

 

 

地震、噴火、津波に対しては地震保険


火災保険が幅広く補償してくれるといっても、もちろん補償対象外になっている事柄もあります。
火災保険と地震保険とは明確に分けられています。
地震や火山の噴火、またそれらによって引き起こされる津波に対して火災保険は適用されず、地震保険に加入しておく必要があります。
また、故意や重大な過失によって引き起こした損害や、戦争や暴動によって発生した損害についても対象外となります。

 

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補償範囲も気になりますが保険料も気になります。
では、保険を選ぶにあたって、どのようなポイントが保険料に影響してくるのでしょうか?

 

 


火災保険の一般的な選び方

「普通保険約款」と「特約」


火災保険の内容はそれぞれの保険会社で細かく規定されていて、規定を取りまとめたものを「保険約款」といいます。
保険約款は大まかに2つに分かれています。基本的な補償内容と手続きに関する取り決めは「普通保険約款」に記載されており、いわゆるオプションにあたる部分や普通保険約款に追加や変更が加えられる内容が書いてある部分は「特約」に記載されます。

上で述べてある一般的な補償範囲については「普通保険約款」に記載されているものとなります。

 

 

環境によって保険料が異なる


保険料は、「合理的」で「妥当」で「不当に差別的でない」という3つの原則にのっとって各保険会社によって定められています。
誰かが余計に儲けたり不当に損をしたりしないようになっている、ということですが、その原則に従うために、対象となる建物のある土地の環境や建物の構造によって保険料率が細かく分類されています。

地域的には雪の影響を受けやすい地域とそうでない地域、台風の影響を受けやすい地域とそうでない地域、というように、都道府県別に保険料率が異なります。


また建物が木造なのかコンクリートなのか、築年数を経ているか否か、住宅であるか工場であるかなどによっても被害規模やリスクが変わってきますのでそういった要因でも保険料率は変わってきます。
おおざっぱに言うと、事故や災害が起こりやすい、もしくは被害が大きくなりやすい環境の建物の保険料は高くなる、ということです。

 

 

保険の対象(建物、家財)


火災保険は保険の対象を「建物」と「家財」の2つに分けており、保険の対象ごとに加入する仕組みになっています。
「建物」は物件そのものや建具、物置や外塀などの敷地内にある周辺設備も含めて指します。
「家財」は家の中に収納してある動産のことを指し、服や食器、電化製品などが家財に該当します。


建物のみに保険を掛けた状態だと、火事で家が焼けてしまった場合、保険金を受け取れるのは建物が被害に遭った分のみということになり、中にあった家具や家電に対しては全く保険金を受け取れないことになってしまいますので、建物と家財両方に保険を掛けておくのがおすすめです。

 

 

保険金額を選ぶ


保険金とは、対象に損害が出た際にそれを「元に戻す」ことを目的として支払われます。したがって、損害が出た対象の価額以上の金額が支払われることはありません。
対象となる建物や家財の価額よりも保険金額が小さければ保険金が満額支払われたとしても完全に元に戻すには不足ですし、逆に対象の価額以上の保険金を掛けていたとしても、保険金として支払われる金額の限度は対象の価額まで、ということになります。火事になってより資産が増える、ということはないようになっています。
そして、保険料額は契約する保険金額に保険料率を掛けて算出されるものなので、対象の価額以上の保険金を掛けるとそれだけ保険料の無駄払いが発生してしまいます。
よって保険契約をする際には、対象とする建物と家財の価額をしっかり見極めて、適正な保険金額を選ぶ必要があります。

 

 

期間を決める


火災保険は一括払いであれば、最長10年の契約をすることができ、保険期間を長期に設定するほど保険料は割安になっていきます。
長期契約の保険を途中解約する場合には、所定の期間に応じた解約返戻金が支払われることになります。

 

 

地震保険に加入するか


地震に起因する損害に対しては火災保険が適用されません。たとえ火災であったとしても、その火事が地震に由来するものであれば、火災保険の対象外になってしまいます。
直接的な地震の被害はもちろんのこと、津波の被害、火災、噴火、それらの災害に対して保険をかける場合には、地震保険に加入する必要があります。
地震保険の加入については法律で、火災保険とセットで加入することになっており、火災保険に加入せずに地震保険だけに加入することはできません。

 

地震保険の対象となるものも建物と家財とで分かれており、その保険金額は加入する火災保険の保険金額に応じて決められます。
具体的には火災保険の保険金の30%~50%の範囲内で、かつ、建物は5,000万円を、家財については1,000万円を上限とすることと定められています。


また地震保険の保険料率も地域的、建物の構造により変化します。
日本の太平洋側は内陸や日本海側に比べて津波の被害を受けるリスクが高まるため保険料率は高めに設定されていますし、木造の建物は鉄筋コンクリート造に比べて高めの料率になっている、といった具合です。


実際に保険金の申請をするに段階において、保険金の支払額が契約内容や社会状況によって変わることがあります。保険金額の決まり方はどのようになっているのでしょうか。また、あらかじめそれを知っておくことで火災保険を契約する時の判断の要素のひとつにもなります。

 

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いざ請求する時に気になる、保険金額の決まり方

「再調達価額」もしくは「時価額」


保険金は、対象に生じた損害を金額に算定して、損害額を支払うもの、とされています。
そして、損害額を算定する方法は二通りあります。

 

ひとつは「再調達価額」といって、損害が生じたものを再築、再取得するのに必要な額を基礎とする金額です。例えば建物が全焼してしまったときには、支払われた保険金額のみで同じ建物を再築できることが多いです。今はこの方法が一般的となっています。

 

もうひとつは「時価額」といって、損害が生じた時点での、そのものの価値を元に算出する金額です。建物は築年数を経るごとに価値が下がっていきますので、長く住んだ家ほど、全焼時に支払われた保険金だけでは再築することができない可能性が高くなります。
ただし、時価額での保険金支払いにすると再調達価額の時に比べて保険料が安くなります。

 

 

免責金額について


保険金額を選ぶ際に「免責金額」が設定されていることがあります。免責金額とは、保険金を受け取る側が支払う金額のことを指します。考え方としては、ある程度までなら自己負担するけれど、自己負担できる限度を超えたものに関して保険金で賄う、というもののようです。建物に対する保険に免責金額が設定されていることはあまりありませんが、金額の大きくなりにくい家財に対して免責金額が設定されていることはあります。
免責金額が設定されている場合、保険料は割安になりますが、受け取れる保険金も免責金額を差し引いた額になってしまいます。

 

 

費用保険金という保険金もある


家も家財も焼失してしまった、それらを再取得するための火災保険ですが、直接の費用だけでなく、事故にまつわる周辺のことにも費用負担が生じることがあります。
たとえば、破損してしまった建物の残存物を撤去するための費用とか、本修理を行うまでの仮修理の費用とか、次の損害の発生を予防したり損害の拡大を防止したりするための費用などが発生することがありますが、そのような間接的な費用負担については、「費用保険金」が適用されるケースがあります。


費用保険金自体は普通保険約款に記載があって自動付帯である場合が多いですが、費用保険金の内容によっては任意加入のものもあるので、契約内容をしっかり読んで希望の費用保険を選ぶ必要があります。

 

 

保険金が支払われない場合


最後に、保険金が支払われない場合もあることも考えられます。
前述の「保険のはてな」によるアンケートでは、保険請求に対して保険金が支払われたケースは94.4%と、ほとんどの場合において保険金が支払われています。
保険金が支払われないケースは、約款に明記されていますが、大きく分けて3つの場合があります。
ひとつは故意もしくは重過失によって起きた事故に対してです。
故意とは、わざと事故を起こすことであり、保険金を受け取ることを目的として起こした事故とも言えます。保険金詐欺というと耳なじみがあるかもしれません。


そして重過失による事故とは、事故が起きることが容易に想定できたにも関わらずその防止を怠ったことによって引き起こされた事故のことです。火事にするつもりはなかったけれど、消火設備も用意せず家の中でキャンプファイヤーを行った、なんてことがあれば重過失に該当する可能性があります。

 

もうひとつは、契約内容に当てはまらない事故に対しての保険金請求であることです。
地震保険に加入しておらず、地震が起因となって火災が発生してしまい、建物や家財に損害が出てしまった、そのような場合には火災保険から保険金が支払われることはありません。

 

3つめは、戦争によって発生した損害に対してです。
約款に記載があるのみで明確に理由が述べられているわけではありませんが、おそらくは同時多発的に多大な損害が発生することにより、多数による積立金が少数の被害者を救うという保険の概念を根底から覆すことになるであろうということと、保険約款よりも上位の拘束力のある、戦時における特別法が施行されるであろうということが考えられます。


日本は災害大国です。温暖化により異常気象も頻発し、最近は水害や突風、竜巻被害もよく目にするようになりました。
新たに火災保険に加入する方、またはすでに火災保険に加入している方も、今の火災保険がどのような補償内容になっているのか、どこまで補償してもらえるのか、保険料は現在の住環境にとって適しているのか、よく考えてみるのもいいかもしれません。

 

 

< 参考サイト >
損害保険料率算出機構

 

PR TIMES 「火災保険はどれくらい行われている?」プレスリリース記事

 

火災保険比較サイト produced by 火災保険クリニック

 


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