給湯器「交換時期(寿命)とメンテナンス時期」
寒くなると、給湯器の出番が増えます。お風呂の温度を上げたり、シャワーで済ませていたところを湯船に浸かりたくなったり、床暖房を入れたり。
冬には欠かせないアイテムですが、エネルギーをよく使うものであるため、長く使うと劣化が進んでいきます。
このコラムでは、給湯器の寿命や長持ちさせる方法、劣化のサインや新しい給湯器の導入のヒントなどを紹介していきます。
給湯器の寿命
平均的な給湯器の寿命は約10~15年といわれています。もちろん、使う頻度や使い方・給湯器の種類や地域の環境などで寿命には差が生じます。
一方で、メーカーによるガス給湯器の設計標準使用期間は10年に設定されています。これは、JISにより定められた「給湯の標準使用条件」に基づいて設計されます。
標準使用条件とは、4人家族が気温20℃、湿度65%のもとで15℃の水を40℃に熱する使い方で、洗面・台所・お湯はり・シャワーで1日1時間、合計456リットルの使用を想定しています。
メーカーはその標準使用条件下での給湯器の使用を365日×10年間、時間にして3,650時間使うことを設計標準使用期間として定めています。
あくまで規格上での期間であるため、使用する人数の多い少ない、使用時間が長くなったり短くなったりすることで給湯器の寿命は変わってきます。
使用頻度が低く、丁寧に扱った場合には10年以上もつことももちろんありますが、10年以上前の給湯器はメーカーに修理のための交換用部品が残っていないことが多く、その場合には修理できないということになります。
古い給湯器が壊れた時「さあ修理ですませよう」としても、修理ができなかったり、修理部品取替えに日数がかかったりすることになるため、その間は家でお湯が使えないということになります。
また古い給湯器を修理し続けても、経年劣化で故障した給湯器は修理した部分以外でも別の故障が発生する可能性が高く、新しい給湯器に交換するよりも結果的にコストがかさんでしまったり、事故のリスクが高まったりします。
目安として7年以上使っている給湯器なら、何かしらの前兆が現れ始めたら交換を考え始めるのがよいかと思われます。
給湯器の劣化のサイン
給湯器は、凍結や強い衝撃が加わるなどといった明確な原因が無い場合、突然壊れるということは少なく、故障する前には何かしらの前兆がみられます。
また、故障した給湯器を使い続けることは一酸化炭素中毒や爆発など、命に関わる危険性を伴う場合もあるため、給湯器の劣化のサインは見逃さないようにしましょう。
■ 給湯器から水漏れがある
給湯器内部の熱交換機や配管が経年劣化して水漏れを生じさせている可能性があります。長く使っている給湯器なら寿命と捉えることができます。
■ お湯を使うと異音がする
給湯器はもともと音の出るものですが、普段と異なる音が出るようであれば、給気と排気のバランスが崩れていたり、ガスと空気のバランスが悪くなっていたりする可能性があります。
■ 出てくるお湯がぬるい・安定しない
機器の内部部品の経年劣化によって燃焼効率が悪くなっている可能性があります。
■ ガスなどの匂いがする
ガス管の破損でガス漏れが生じていたり、内部が酸素不足でガスが十分に燃焼せずに化合物が発生してその匂いをさせていたりする可能性があります。
ガス漏れや不完全燃焼はとても危険であるため、使用を中止してすぐにガス会社や専門業者に連絡をしましょう。
■ 性能が十分に発揮されない
追焚き機能が使えなくなった、浴槽にはったお湯が設定よりぬるいなど、給湯器の性能が十分に発揮されなくなるのも内部部品の劣化による可能性があります。
■ 錆びついている
給湯器の排気口まわりは、排気による水分で錆が生じることがあります。排気口まわりが錆びついている場合は内部も錆びている可能性があり、錆が広がると故障の原因になります。
■ 煙が出る
黒い煙は不完全燃焼によって生じている可能性が高く、不完全燃焼を起こすと一酸化炭素が発生し中毒を起こし死亡事故につながるおそれがあります。
白い煙は排気に混じった水蒸気である可能性がありますが、いずれにおいてもいつもと違う場合にはすぐに使用を中止して専門業者に修理か交換を依頼しましょう。
給湯器を長持ちさせる方法
無駄づかいしない
使用時間の長さが機器内部の部品の劣化につながるため、シンプルに無駄な使い方を避けることが寿命を延ばすことにつながります。
またスイッチオフの状態で給湯栓を開けて水を出すと給湯器の通水部分が結露を起こして劣化を進めることがあるため、スイッチを入れて使うか、水を出して使う場合にはハンドルの設定を水にして使いましょう。
凍結させない
年末年始に帰省するなど冬期間に数日家を空けると、その間に給湯器の配管が凍結してしまうことがあります。また、強い寒気のもと一夜にして凍結することもあります。配管に溜まっている水分が凍結してしまうと配管が破損する可能性があるため、凍結は避けなくてはなりません。
凍結防止ヒーターのある給湯器は電源を抜いたりブレーカーを落としたりしない、落とす場合には水抜き栓を開いて中の水を抜いておくといった対処が必要です。
一夜の間に凍ってしまうような寒冷地の技として、夜の間に割りばしの太さ程度に細く水を出し続けるという方法もあります。流れる川が凍らないように、水を流し続けることで凍結を避けることができます。
追い焚き機能のある給湯器は、循環金具より5センチ以上高い位置に残り湯を維持することで機器が外気温を検知し自動的にポンプ運転を行うことで凍結を防ぐ機能があります。
給気口や排気口を障害物などでふさがない
排気口の近くに障害物があると、給気口が排気を吸ってしまう「ショートサーキット」を起こして不完全燃焼が引き起こされ、故障を招くことがあります。
また給気口の近くに雑草などを生やしたままにしておくと虫やクモの巣が混入して故障の原因になることもあるため、給排気口まわりはスッキリさせておきましょう。
入浴剤を選ぶ
入浴剤の成分には様々ありますが、成分によっては配管や熱交換機に悪影響を及ぼすものがあります。
硫黄成分が含まれた入浴剤を使うと、内部の配管や熱交換機の腐食を招き、故障の原因になるためなるべく使わないようにしてください。塩分などミネラル分の多いものや白濁するタイプの入浴剤を使う場合は追焚き機能は使わない、炭酸を含むものは発泡が終わってから追焚き機能を使うようにしましょう。
リモコンを丁寧に扱う
リモコンの掃除には湿った布で軽く拭く程度にしておき、塩素系・酸性・アルカリ性の洗剤やシンナーやベンジンなどの有機溶剤は、変色や変形・割れなどの原因になりますので使わないようにしましょう。
新しい給湯器のおすすめ
新しい給湯器に交換する場合には、以下4種類の高効率給湯器がおすすめです。
エコジョーズ(ガス給湯器)
従来よりも少ないガスで効率よく、瞬間式でお湯が沸く給湯器です。
使用するガスが少ないためガス代の節約や二酸化炭素の排出量を抑えることができるようになり、経済的にもメリットがあります。
エコキュート(電気式給湯器)
ヒートポンプ技術と夜間電力を利用してお湯を沸かし、貯湯タンクに溜めるタイプの給湯器です。電気代の安い夜間電力を使って夜のうちに沸かしたお湯を日中使うというシステムのため、電気代の節約ができることや、燃焼させないことから二酸化炭素を排出しないというメリットがあります。
エコフィール(灯油式給湯器)
灯油を燃焼させた排ガスの熱を再利用して、熱効率95%という非常に高い効率で稼働させることができるため、二酸化炭素の排出量や灯油の使用量を削減できます。
ハイブリッド給湯器(電気とガスの併用)
エコキュートのヒートポンプ技術とエコジョーズの技術を組み合わせて使用し、時間帯や湯量に合わせて使い分けることのできる給湯器です。
エコキュートにある貯湯タンクのお湯切れの心配がないといったメリットがあります。
4タイプの給湯器について簡単に紹介しましたが、以下の記事ではより詳しく記載されていますので、ぜひご参考ください。
高効率給湯器で、補助金が受けられます!
日本国内全体で、二酸化炭素の排出量を大きく減らす計画が動いています。その計画の一部として、二酸化炭素の排出を抑えるリフォームを行う方に対して補助金が出る事業が行われています。
「子育てエコホーム支援事業」という補助事業では、住宅の省エネ化や高断熱化のリフォームに対して補助金が支給されます。
補助の対象となっている工事の一部にはエコジョーズやエコキュートの導入など、高効率給湯器の導入が対象に含まれています。
子育てエコホーム支援事業の詳しい内容は
まとめ
寒い時期は、給湯器の使用頻度が上がり、それだけに不具合を発見しやすくなります。修理や工事の申込件数も増えることから、業者も急な修理依頼にはしきれず、数日待たなくてはならないということもあります。
長く使っている給湯器が、いつもとちょっと違う挙動であったり、なにか異常を起こしたりと感じられた時には、余裕のあるうちに、交換を検討することをおすすめします。