【 寒いお風呂 】対策リフォーム「 ほっカラリ床 」
こんにちは! TOTOリモデルサービスです。
寒くなってくると「お風呂場の寒さをどうにかしたい」というご相談をいただくことが増えてきます。
寒い浴室や洗面室は、健康リスクが潜む場所でもあり、放っておくのはとても危険です。
今回は、ご好評いただいている「 寒いタイル張りの浴室 」を暖かい浴室に改善するリフォームについて、人気の「 ほっカラリ床 」や「 断熱窓を取り付けた事例(防火地域編含む)」、「 バリアフリー化の事例 」についてもふれながらご紹介します。
【 目次 】
「寒い浴室」が招くリスク
ここ10年ほどで住宅の断熱性は大きく改善されつつありますが、まだまだ冬になると室内でも厚着をしなければ過ごせないほど寒くなる家は多いようです。
特に「浴室・洗面室」が寒く、お風呂に入るのがツライという人も少なくありません。寒さを我慢して入浴すると、ヒートショックなどの「入浴関連事故」を生じるリスクが高くなってしまいます。ヒートショックとは、血圧の急な上下によって体が強いダメージを受けること。ときには心筋梗塞や脳梗塞の引き金にもなる怖い症状です。
なぜそんな怖い症状が起こるかと言うと、暖房をつけた暖かな部屋にいる間、低く落ち着いていた血圧が、寒い洗面室・浴室に移動することで急上昇し、熱いお風呂に浸かった途端に再び急降下するのです。(短時間で激しく血圧が上下すると、血管に負担がかかります)
厚生労働省が発表したデータでは、浴室内で発生する高齢者の死亡事故は、圧倒的に冬に集中しています。
その大きな原因が、浴室の室温の低さにあると指摘されているのです。
※引用:東京消防庁管内「高齢者の溺れる事故、月別搬送人員」
※画像引用:政府広報オンライン
「家が古いから浴室が寒くても仕方ない」と諦めず、家族の体を守るためにも、洗面室・浴室の断熱について、何ができるのかを考えてみましょう!
「寒い浴室」には断熱材がない!
画像は、断熱材の入っていなかった浴室に、断熱材を入れているところです。
古い家ほど壁や天井に断熱材を入れていないことが多く、隙間風が入りやすい構造になっているものです。
そのため、浴室の寒さを改善するなら、しっかりと断熱材を壁や天井に入れることが重要なポイント。断熱材が入ると、室温の低下がかなり改善されます!
さらに、ユニットバスを断熱防水パンで覆えば、お湯の温度が下がる時間もゆるやかに。毎日追い焚きをすることで負担になっていた光熱費コストも抑えられて、体にも家計にもやさしい浴室になります。
参考までに、TOTOの「断熱材パック・断熱防水パン」を紹介します。浴室の寒さ改善は、どこか一部をリフォームするのではなく全体の断熱機能を高めて室内を保温することが大切です。
画像引用: TOTO株式会社 ホームページ
冷たくない? 「 ほっカラリ床 」
2つの層で冷気をシャットアウトする、W断熱構造
画像引用: TOTO株式会社 ホームページ
床の内部のクッションでやわらかくヒヤッとしない
お掃除ラクラクほっカラリ床は、床の内側にクッション層を持っています。そのクッション層が畳のようなやわらかさを実現。同時に断熱材の役割も果たすので冬場の1歩目もヒヤッとしません。
画像引用: TOTO株式会社 ホームページ
色や表情が異なるバリエーション
「 窓 」で断熱対策
浴室内の室温を下げる原因で、見落としがちなのは「窓」かもしれません。浴室リフォーム工事の際、窓の取替も一緒にすることで、より断熱効果を感じていただけるかと思います。
従来の家で多く使われていたアルミサッシは、熱伝導率が高く、外の気温を防ぎきれずに冷たい空気を室内に伝えてしまうため、樹脂サッシなどの熱伝導率が低いものに取り替える人が増えています。
ここで、浴室リフォーム工事とあわせて採用されることの多いYKK APの「 マドリモ 」の設置実例をご紹介いたします。
<リフォーム前>
元々設置されていた浴室は、タイル張りで窓が2つあるため冬場は寒く感じておられました。また、窓まわりのお手入れなどにおいても手間がかかり、使いづらい浴室にお困りの様子でした。
リフォーム工事をお考えになった一番の理由が「とにかく寒いお風呂を何とかしたい」とのことでしたので、システムバスへお取り替えの際に、2箇所あるうちの1箇所の窓をふさぎ、残りの1箇所を小さくするご提案を致しました。
窓の取替えとなると、通常大がかりになってしまいますが、YKK APの「マドリモ」なら、既存の枠を残したまま窓を小さくすることが可能です。
窓の取替え工事は、既存の浴室の撤去作業が終了した後から始まります。既存の窓枠を外す必要がなく、外壁に影響することもないので面格子もそのままの状態で工事が可能です。
室内側からの工事も可能なので、2階でも足場を設置せずに窓の取替えができます。
「 マドリモ 」設置後
気密シートの取り付けによって防水対策ができ、シーリング作業を軽減するので、作業時間の短縮にもなります。(作業時間は2時間~半日なので、システムバスの改修工事の工程に影響しません。)
外側からみるとこのような仕上がりになっています。既存のサッシ色と合わせることができるので、違和感なく仕上げることが可能です。
<リフォーム後>
窓枠が新しくなるので、新しく設置したシステムバスと色を合わせることができ、まるで新築のような気分を味わえます。
システムバスルーム:TOTO SYNLA
窓の断熱性も上がるので、冷たかった浴室が温かくなり、お客さまからは「冬場は特に快適にお風呂に入れます♪」と喜んでいただきました。
防火地域・準防火地域での事例
上記では、一般的な地域での浴室リフォームにおいて窓を交換した事例について紹介しましたが、防火地域と準防火地域では、延焼ライン(1階は隣地境界または道路中心線から3m以内・2階以上は隣地境界または道路中心線から5m以内)に窓等の開口部を設ける場合には、防火設備を設置しなければならない場合があります。
◇ 防火地域とは
市街地の防火対策のため、都市計画法に基づき指定される地域(主にターミナル駅周辺の中心市街地や主要幹線道路等)のことで、この地域に「地階を含む3階以上の建物」または「延べ面積100平米超の建物」を建築する場合は、耐火建築物にする義務があります。
◇ 準防火地域とは
市街地の防火対策のため、都市計画で指定される地域(主に防火地域の周辺に広範囲で指定)のことで、この地域に「地階を除く4階以上の建物」または「延べ面積1,500平米超の建物」を建築する場合は、耐火建築物にする義務があります。
また「地階を除く3階以下の建物で、延床面積が500平米超かつ1,500平米以下の建物」の場合、準耐火建築物にする義務があります。
※建築基準法第2条第1項第六号の「延焼のおそれのある部分(延焼ライン)」には緩和規定があり、隣地に広場や公園がある場合は防火設備は免除されます。
※その他、細かな条件あります。
そのため防火設備を設置しなければならない地域における本物件では、断熱性を向上させるため窓のサイズを小さくし、防火設備に認定されたYKK APの防火窓Gシリーズ(高性能のLow-E複層ガラス)へ変更しました。
工事過程
リフォーム前の浴室は、このようなタイル張りの浴室(在来浴室)でした。
窓が壁の幅いっぱいに設置されており、冬場の寒さの原因となっていました。
まず壁に貼られたタイルを剥がし解体していきます。
解体後、浴室があった場所はスケルトンな空間になります。
小さくする新しい窓のサイズに合わせて、壁・窓の下地を組んでいきます。
木の下地が腐食している場合は、併せて補修も行います。
窓まわりの防水処理をしていきます。
外壁側から、防水シート等でしっかり処理します。
新しい窓を取付けます。
窓まわりの防水処理後、外壁を補修していきます。
こちらの現場は、換気扇の吹き出し口も変更になったため併せて補修します。
この後モルタルを塗る際に、密着性のよいラスカットという材料を使用しております。
モルタルで外壁を平滑にし、既存の外壁となじませていきます。
塗装を行い、さらに既存の外壁となじませていきます。
既存の外壁色へ近づくよう塗装材を調合し仕上げていきます。
外部はこちらで完成です。
内部の工事の続きです。
外壁側の断熱材を隙間なく敷き込んでいるところです。
断熱材で空間を埋めることにより、寒さ対策ができます。
外の寒さを伝わりにくく、中の暖かさを逃がしにくくします。
ユニットバス設置のための配管・配線を行います。
ユニットバスを設置し、窓のまわりも新しい窓枠を取りつけ完成です。
こちらの現場では、窓を小さくすると同時に高性能のLow-E複層ガラスを採用したユニットバスにしたことで、断熱性がぐっと上がり寒い季節の床のヒヤッとした冷たさが軽減されることでしょう!
在来浴室は、長年使用しているとコーキングの切れ目やタイルの割れ目、サッシまわりの隙間から水が入り込み、柱や土台、窓台など木の構造材を腐食することがあります。
構造に関わる部分の補修工事と一緒に窓も交換することで、後から窓だけ交換するよりも、工程・費用は抑えられ、浴室もあたたかく快適に過ごせるようになります。
バリアフリー化の事例
滋賀営業所 伊藤が行った、産まれてから結婚を機に家を出るまでの27年間を過ごした「 実家 」の浴室リフォームのようすをご紹介します。
祖父様がお金をかけて作ってくれたお風呂は、昔では珍しいジェットバスが付いていました。しかし、タイルのお風呂で冬場はとても寒かったそうです。
浴室の出入口は、折戸で段差もありました。
リフォームするにあたり、今後、車いすになることも想定してバリアフリーに近い引戸を採用しました。
また、壁際や屋根には、断熱材が入っていなかったため、大工さんに入れてもらいました。
その後ユニットバスを設置し完成!!ご両親とも出来栄えにとてもご満足いただけたそうです。
最後に
タイル貼り浴室のリフォームは、洗面室の設備を移動させて行うことが多いため、このタイミングで洗面室も一緒にリフォームすることをおススメします。
浴室だけを新しくすると、洗面室の寒さや古さが気になり始めて「やっぱり一緒にやっておくべきだった」と後から追加のリフォーム相談をいただくことが、少なからずあるのです。そうすると工期も長くなってしまいますし、余計な工賃や、何度も洗濯機や脱衣カゴなどを外に出す手間がかかってしまいます。
洗面室の寒さもヒートショックの原因になると指摘されていますから、健康リスクを減らすという意味でも、同時に改善するのは良い対策です!
ご自身のカラダのため、家族の将来のために、本コラムをリフォーム時の参考にしていただければ嬉しいです。
浴室 リフォーム価格帯
当社に浴室のリフォームを依頼すると実際にどれくらいの費用がかかるのか、費用感を「 東京エリア(緑)」と「 北九州・滋賀エリア(青)」に分けてグラフにまとめました。
《 横軸 》リフォーム費用(万円) ・ 《 縦軸 》件数割合(%)
※集計期間: 2022年1月~2023年9月
※お客様のご自宅の条件、お選びになる仕様、製品によって費用は異なります。
< 参考情報 >
2023年12月現在において
サザナ スタンダード(S)タイプの商品代: 希望小売価格 約118万円(税込)~
サザナ ハイグレード(P)タイプの商品代: 希望小売価格 約144万円(税込)~
戸建て用 シンラ デラックス(D)タイプの商品代: 希望小売価格 約177万円(税込)~
戸建て用 シンラ リラックス機能満載(R)タイプの商品代: 希望小売価格 約231万円(税込)~
マンション用 シンラ デラックス(D)タイプの商品代: 希望小売価格 約196万円(税込)~
マンション用 シンラ リラックス機能満載(R)タイプの商品代: 希望小売価格 約243万円(税込)~
サザナを採用の場合、工事費を含め100~150万円が多く、シンラを採用の場合、150~250万円が多い価格帯となりました。また、タイル貼りの浴室からのリフォームの場合、解体や基礎工事の費用が多くかかります。
文: 森・伊藤・村上・栗原