賢い「ウォークイン クローゼット」の作り方
洋服が増えてしまって収納に困る、季節ものを置いておく場所がほしい、靴が多くて玄関が溢れかえっている、という悩みのある方には、ウォークインクローゼットがおすすめです。
ウォークインクローゼットは様々な用途に使うことができるため、主に収納における悩みを一気に解決できるかもしれません。
ここでは、ウォークインクローゼットの種類や気をつけるべきことについて述べていきます。
ウォークイン クローゼットとは
ウォークインクローゼットとは、中を人が歩くことのできるほどの高さや広さのある収納スペースのことです。
間取り図では、「Walk-In Closet」の頭文字をとったWICや、WCLなどと表記されます。
ウォークインでないクローゼットは、ハンガーに掛けた洋服の幅が大体60センチであるためそれよりもやや大きく、奥行きが75センチほどであるのが一般的で、中を人が立って歩くことは想定されていません。
メリット
大容量の収納ができる
人が歩くことができるほどのスペースがあるため、収納スペースも広くとることができます。
高さもあるので、ロングコートや着物などの長物や、畳んでシワにしたくない衣類などをそのままハンガーに掛けて吊るして保管することができますし、ゆとりを持たせた収納をすることで、スッキリとして取り出しやすくすることができます。
また広さを活用して、釣り竿やゴルフバッグなどのような場所を取る物を保管するためのスペースを設けることもできます。
収納をカスタマイズできる
大物を保管する広い場所や、小物をまとめて保管する場所、靴をまとめておく場所など、用途に合わせた衣装ケースや収納ボックスを入れることで、自分なりに使いやすくカスタマイズすることができます。
中で着替えることができる
着替えるスペースを確保して中に鏡を置くことで、服のそばであれこれコーディネートを試しながら服を選ぶことができます。
デメリット
生活スペースが減る
限られた家の敷地内で、広い収納スペースを取るということは、収納以外の部分(リビングやキッチン・寝室などのスペース)を圧迫するということにつながります。
また、ウォークインクローゼットと他の部屋との行き来が必要なとき、動線がシンプルにできていないとそれだけでストレスになる可能性もあります。
うまく片付けないと散らかりやすい
収納スペースが広いからといって、無計画に何でもウォークインクローゼットに突っ込んでしまうとどこに何があるか分からなくなり、クローゼット内で探す時間が増えると次第におっくうになり、結局ただの物置と化してしまいます。
用途ごとに分類して保管する、使用頻度の低いものを奥に、頻繁に出し入れするものを手前に、重いものを手前になど、ある程度のルールを決めて保管するのがおすすめです。
収納方法の例
ハンガーパイプ
どのウォークインクローゼット内にもほぼ確実にあるのがハンガーパイプです。壁から壁に丈夫なパイプを通してハンガーを掛け、衣類を吊るしておくためのものです。衣類をたくさん持っている方、特にコートなどの長物や、畳むとかさばる衣類を多く持っている方には必要です。
造作棚
衣類以外のものを置いておくのに便利な棚です。
ウォークインクローゼットに合わせて造作する棚は、目的に合わせたサイズにすることができます。固定式の棚ならある程度重量のあるものを置くことができますし、可動式にすれば置くものの大きさに合わせて移動や組み換えができて幅広い選択肢が生まれます。
コレクションを飾る場所にしてもいいですし、靴やアクセサリーなどの小物を並べておく場所としてもおすすめです。
ユニット収納棚
市販の収納棚を取り入れる場合です。重ねることのできるものや引き出しがついたものなどがあり、下着やタオル・手袋やマフラーといった季節ものの小物など、まとめておきたいものなどを収納するのに便利です。
代表的なレイアウト
Ⅰ字型
ウォークインクローゼットの片面を使って収納スペースとする方法です。
比較的小さなスペースに導入することができ、もう一方の面を人間の移動スペースや着替えスペースにすることで、大きくないながらもきちんとウォークインクローゼットとしての役割を果たすことができます。
スペースは広くないため設置費用を抑えることができるというメリットもありますが、大きなものを収納するのには向かないレイアウトです。
Ⅱ字型
人間の活動スペースを真ん中に、両サイドの壁を収納スペースとするレイアウトです。Ⅰ字型と比べて収納スペースは大きくなります。
片面をハンガーパイプ、もう片方を造作棚にするなど、工夫することができます。
L字型
収納スペースを片方の壁面と部屋の奥にするレイアウトです。
左右をものに挟まれたⅡ字型よりも圧迫感が少なく、かつⅠ字型のような小さなウォークインクローゼットでも大容量の保管ができます。
ただし、Lの角の部分が出し入れしづらくデッドスペースになりがちです。
コの字型
左右の壁面と奥の壁を収納スペースとするため、最も大容量の収納スペースを確保することができます。
その分、大きな面積が必要となるのと、コの字の2つの角がL字型と同じ理由でデッドスペースになってしまうことが多いです。
出入り口を手前と奥に、2つ作ることで通り抜けることができるようにしたものです。
構造としてはⅡ字型と同じですが、動線の確保のしやすさ、後述します換気の採りやすさが魅力です。
「部屋」というよりは廊下の両壁面を収納にするといったイメージです。
ウォークイン クローゼットの大きさ
ハンガーに掛けた衣類の幅はおおよそ60センチです。また、人間の通路としての幅も約60センチとされることが一般的です。したがって、最も省スペースで作ることのできるⅠ字型やL字型のウォークインクローゼットでも最低120センチの幅が必要となります。
Ⅱ字型・コの字型は、さらに60センチ収納の幅を設けることになるため、最低180センチの幅が必要です。
奥行きの長さは、同居する人数や衣装の多さによって必要なサイズが変わってきますが、一般的には夫婦の2人暮らしで2畳程度、子供2人がいる4人家族で3畳~4畳といわれています。
もちろん、家族の人数で必要な大きさが変わりますし、衣類をたくさん必要とする職業や趣味の方であるなど、生活スタイルによっても変わります。
適した場所・間取り
ウォークインクローゼットまでの動線が複雑で回り込むような場所にあるとどうしても行き来が面倒になっていきます。では、家のどこにウォークインクローゼットがあるのが最適なのでしょうか。
生活スタイルによって違うと言ってしまえばその通りで身も蓋もないのですが、どの場所の近くにあるのかを考えることでそれぞれのメリットが見えてきますので、どこにあれば一番ストレスが少ないかを考えてみていただけたらと思います。
寝室に隣接
起床後すぐに着替えることができる、帰宅後すぐにベッドに向かうことができるというメリットがあります。
洗面所の横
洗顔、メイクなど身支度を終えてすぐに着替えることができます。帰宅後すぐに着替えてメイクを落としたい、といった場合にも便利です。
物干し場の近く
乾いた洗濯物を畳んですぐにしまうことができます。家族分の衣類をひとつのウォークインクローゼットに収納しておくことで、一度の移動で洗濯物を片付けることができます。
廊下に面した場所
それぞれの部屋に直接つながっていないことで、早朝や深夜でも家族に気兼ねなく気軽に使うことができる点がメリットです。
子供部屋の続き
子供の成長に応じてものが増えても収納できる点、自分で片付けることや物の管理を覚えさせることができる点がメリットです。
その他 気にするべき点
換気
ウォークインクローゼットは閉ざされた空間であるため、湿気やホコリが溜まりがちです。衣類にとってはどちらもよくないものですので、ウォークインクローゼット内にも換気設備を設けておく必要があります。
窓をつけるという手段もありますが、クローゼット内を明るくすることができる反面、衣類を日焼けさせてしまう、急な雨が降ったときに対応しきれず中を濡らしてしまうなどといったデメリットがあります。
換気扇にすると、明かりは照明頼みになってしまうため外でコーディネートを見た時の印象をイメージしづらいかもしれませんが、日焼けや雨を防ぐことができます。
コンセント
ウォークインクローゼット内でできることは意外とあります。スペースを広くとれていればアイロンがけすることもできますし、書斎として活用することもできます。ちょっとした撮影スタジオとしてトーク系やレビュー系YouTubeの動画を作ることもできるかもしれません。
今後どのように使っていくか、用途が増えると電化製品を数種類使う場合に備えて、クローゼット内にコンセントを用意しておくとよいでしょう。
扉のタイプ
ウォークインクローゼットの出入り口を開き戸にすると、観音開きすることで大物の出し入れが楽になりますが、扉の開くスペースがデッドスペースになります。
引き戸にすると開閉スペースを取る必要はありませんが、壁の中に戸を収納する構造であるため、隣接する部屋に影響が出ないようにするために全開できなくなる可能性があります。
折れ戸にすると隣接する部屋への影響はなく、開き戸ほどデッドスペースが大きくなることはありませんが、それでもやはり少しデッドスペースができてしまいます。
思い切って扉なしにすることもできます。ロールスクリーンなどを用いて目隠しにすることもできますが、基本的には常に開放しておくことで開け閉めの手間を省いたり通気性を良くしたりすることができます。
まとめ
人の生活スタイルや、何を重んじているのかは本当に様々です。広さをはじめとして、中の収納レイアウト、何を収納するのか、将来使い方が変わっていくかもしれないことなど、じっくり考えて決めていきましょう。